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“大空の覇者”トンボを撮り続けて 藤沢市の写真家/尾園暁さん |
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「望遠レンズは使わない方が、その場の雰囲気が残ります」と話す尾園さん |
「大トンボ展」に200点出品 童謡「赤とんぼ」で歌われるなど、昔から日本人にとって身近な生き物であるトンボ。現在、小田原市の神奈川県立 生命の星・地球博物館では、特別展「大空の覇者—大トンボ展—」を開催中だ。日本に生息する約200種のトンボの標本と生態写真が展示されている。そのほとんどの写真を撮影したのが、藤沢市在住の自然写真家・尾園暁(あきら)さん(36)だ。「トンボ展を楽しんでもらうことで、トンボやトンボに関する環境に興味を持ってもらえたらうれしい。昆虫少年、少女も増やしたい」と話す。
「トンボは恐竜の時代にもいたんですよ。現在、世界最大のトンボは13センチ、最少は2センチ。羽の色もさまざまで、とても魅力のある昆虫です」と話す尾園さん。小田原で11月4日(日)まで開催中の「大空の覇者—大トンボ展—」には、尾園さんの撮影したトンボの写真約200点を出品した。
トンボはとてもデリケートな昆虫で、死後30分ほどで色が変化してしまう。そのため、標本には向かない。そこで、昆虫少年だった尾園さんは写真に収めるようになった。大学院を卒業し、いったん就職するが、一念発起して写真家に。
「趣味で撮りためたトンボの写真のストックが5万枚あったので、なんとかなるかな、と。そうは言っても始めのうちは小笠原諸島で環境調査の仕事を手伝いつつ、撮影をしていました」
ことし、尾園さんはトンボの図鑑「日本のトンボ」(文一総合出版)を出版した。「日本に分布するトンボ全203種を掲載した初めての図鑑」と、胸を張る。羽化、成熟(羽化後、色が変わった姿)、交尾、産卵のシーンを掲載した力作だ。
「トンボの採集には、全国のトンボ仲間に協力してもらいましたが、離島に生息するトンボは、キャンプ道具を持って自分で撮影しにいきました」。せっかく遠方まで足を運んでも必ずしも撮影できるわけではなく、肩を落として島を発つこともしばしば。「当初は2年ぐらいで撮り終えるかと踏んでいましたが、結局5年かかりました(笑)」。苦労に苦労を重ねて出来上がった本だけに、喜びもひとしおだ。
「大トンボ展」には1500種を越える世界的なトンボコレクションや化石、トンボをモチーフにしたルネ・ラリックの作品、巨大なトンボ模型などの展示品がそろう。
「トンボ展を見ていただくことで、トンボや環境問題について興味を持ってほしい」と切実な思いをぶつける尾園さん。「秋は高原から帰ってくるトンボも多く、数も種類も多く見られます。ぜひ身近なところで見つけてみてください」 |
特別展「大空の覇者 —大トンボ展—」
11月4日(日)まで、神奈川県立 生命の星・地球博物館(箱根登山鉄道入生田駅徒歩3分)で。一般710円、65歳以上200円、中学生以下無料。TEL.0465・21・1515 |
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