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昨年、20年連続登頂を成功させた杉山さん |
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連続20年登頂の達人がこつを伝授
6月30日深夜に富士山の開山祭が行われる。日本一の山、富士山にことしこそ挑戦してみませんか? しかし、登山は準備を怠ると死につながる危険性も持ち合わせている。そこで、これまで20年連続富士山登頂を成功させている青葉区の杉山富一さん(66)に、注意点などを聞いた。杉山さんにとって富士山は、「生きている」ことを実感させてくれる山だという。
ゆっくりと歩く、無理しないが鉄則
富士山には、子どもが小さいころにグループで登ったのをきっかけに、ここ20年、毎年登っています。友人や家族と行くこともありますし、1人で行くこともあります。
よく富士登山の魅力を聞かれますが、1人で登っていると、「自分が生きていて元気にここを歩いている」と実感できるのがだいご味ですね。富士登山を理解してくれる家族や、健康に産んでくれた両親に感謝の気持ちがわきあがってきます。富士山はわたしにとって、気力のバロメーターなんです。
富士登山に一番いい季節は、7月の終りから8月中旬のお盆あたりまでです。しかし、世間の夏休みと重なって週末はとても混みます。山小屋が取れないことがありますから要注意です。どうしてもその日程がずらせない場合は、宿の人に「廊下でもいいですか?」と聞かれても、わたしは「いいです」と答えますね。山小屋には天気予報を見ながら、1週間から10日前あたりに電話で予約をします。だいたい1泊2食付きで1万円弱です。
須走口がお薦め
わたしは青葉区に住んでいるので、富士山に登る時はだいたい午前3時に朝食を取り、4時に車で家を出ます。御殿場インターで高速を降りて5合目まで行きます。最近は混雑回避のためにマイカー規制もあるので、日程に注意が必要です。
富士登山にはいくつかのコースがありますが、須走口からの登頂がお薦めです。ほかよりも歩く距離は長くなりますが、下りが楽ですし、変化に富んでいて山歩きの楽しさを満喫できます。
「ご来光」(朝日)を目的に夜に歩いたこともありますが、真っ暗闇の中、ヘッドライトだけを頼りに歩くのはとても危険です。落石があっても見えませんし、道も昼間の方がすいています。ご来光は午前5時ぐらいから登り始めれば、7合目以上ならどこでも見えます。
ゆっくり登る
身支度をしていよいよ登ります。最初の30分は特にきついので、ゆっくり、ゆっくりを心掛けること。みんな最初は元気がいいから大股で行きますが、途中でばててしまいます。「こんな遅くていいの?」というぐらいゆっくりで。とにかく歩き急がないこと。
前に体を倒せば自然に足は出ます。それぐらいで十分です。無理をすると、足が張ってしまいます。逆に、無理をしなければ誰でも登れます。
初心者はグループで
持っていく荷物ですが、非常食は必要です。わたしは、おにぎり、パン、あんドーナツなどを持っていきます。家に持って帰って食べるくらい多めに、が基本です。山小屋の食事では、おかわりが可能な宿ではこれ以上食べられないというところまで食べます。恥ずかしくでも3杯ぐらい食べますよ。お腹がすくと疲れやすくなりますし、足が重くなりますから。
それから服装についてですが、つま先まであるタイプのロングスパッツはとても重宝します。雨が入らないし、砂除けにもなるからです。下りの大砂走りでは深くまで足が砂に入ることがありますし、少しの雨でも足から冷えてきますから。靴は底の堅いものを専門店で選びましょう。
トイレは家を出る前に必ず行くこと。山小屋はトイレの数が少ないので早め早めに。
そして当然のことですが天気が悪ければやめましょう。それから、行き先、日程、地図をコピーし、家に置いていきましょう。
初心者はグループで行くといいです。しっかり準備して、ぜひ楽しい富士登山を経験してみてください。 |
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