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ヨコハマ映画祭開催 映画祭実行委員会代表/鈴村たけしさん |
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「批評家がはじいた作品も評価したい」と語る代表の鈴村さん |
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北野武も健さんも来た!
7日(日)、関内ホールで映画ファンによる日本映画の表彰式「第31回ヨコハマ映画祭」が開催される。スポンサーのない公平な審査は多くの映画関係者から支持されており、過去の授賞式には緒形拳や高倉健、北野武といった著名人も参加している。素人の運営ながら映画祭が30年続いたことに同祭代表の鈴村たけしさん(61)は「東京文化圏のくくりに入り、『文化不毛の地』といわれる横浜で30年続けてこれたのは、映画の神様がやらせてもいいと言っているのだと思う」と笑顔をみせる。
子どものころから映画が大好きだったという鈴村さん。29歳の時、映画愛好家仲間とともに3人でヨコハマ映画祭を開催する。
映画祭では、あらかじめ35人の審査員が投票して決めた賞の授賞式と映画の上映を行う。賞金のない質素なイベントだが、スポンサー色のない純粋な映画ファンによる映画祭とあって、毎年、豪華な映画関係者の顔ぶれが並ぶのが特徴だ。
第1回目の主演男優賞は、一昨年死去した緒形拳だった。「受賞のお知らせの時に『権威も伝統もない映画祭なのですが』、とお伝えしたら、『だからうれしいんじゃないですか』と言ってくださって感激した」と鈴村さんは振り返る。第3回の映画祭で、撮影の間を縫って授賞式に駆け付けた高倉健が、「ハマの空気が吸いたくて…」と会場を沸かせたことも、忘れられない思い出だ。高倉氏の滞在時間はわずか15分。ロケ現場にとんぼ帰りした。
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09年のヨコハマ映画祭の記念撮影で |
スポンサーなし、「1年1年が勝負」
「映画は試写の数が多いほど高く評価される傾向があります。また専門家ほど忙しくて数を見ていないことも。ぼくたちはそういった批評家がはじいた作品も評価したいのです」。だから、やくざ映画や日活ロマンポルノも評価の対象にする。黒澤、小津、溝口だけが日本映画ではない、という気概がある。「現在の日本映画は玉石混合ではあるけれど、バラエティーに富んでいて秀作も多いですよ」と評価している。昨年、アカデミー外国映画賞を受賞した「おくりびと」も、記憶に新しい。「砂浜から1粒の宝石を見つける、そんな楽しさがありますね。ずっと続けてこれたのは、そんな喜びがあるからです」
資金については、当初からスポンサーなしであることを決めていた。
「映画人が一生懸命に作っているものからベスト10を選ぶわけですから、こちら側にリスクがないと失礼です。また、景気に左右されるのが嫌だったのもあります」と話す。
折りしも映画祭の開催当初はバブルの真っただ中。某大手広告代理店から某企業の名前を付けることを条件に、数百万の融資を持ちかけられたこともある。「断ったら、『ばかじゃないの』と(笑)。でも、あの時その話に乗っていたら今、ヨコハマ映画祭はやっていないでしょうね」。ヨコハマ映画祭は、チケットが完売すれば赤字は出ない。もちろんスタッフはボランティアだ。たまに持ち出しもあるが、「海外旅行に行くことを思えば」と割り切っている。「1年1年が勝負。すべてに必死でやっていることは確かです」
鈴村さんは、「あえて映画とは違う道に」、と選んだスポーツ用品メーカーを昨年末に退職した。定年後は映画についての本を書こうと考えていたが、意外にも知り合いから声がかかり、昨年、上梓した。「好き」を追求していると思いもよらぬ道が開けてくることをこの30年間で実感している。来たる7日は、どのような熱気を味わえるのか。こうご期待。
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全国順次公開中 (C)「Dear Doctor」製作委員会 |
ヨコハマ映画祭
ヨコハマ映画祭は7日(日)午前10時半開場。「のんちゃんのり弁」の上映後、午後2時から授賞式を開催。その後、「風が強く吹いている」「ディア・ドクター」の2本を上映。前売りは完売だが、当日券が発売される。1人2800円。問い合わせは鈴村(電話)045・751・0480(夜間のみ) |
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