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STOP!自殺増加 うつ病の早期発見が鍵 こころの健康相談センター/白川教人さん |
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「死にたくて死ぬわけではない。だから助けたい」と話す白川さん |
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9月10日は自殺予防デー
9月10日はWHO(世界保健機関)世界自殺予防デーだ。昨年の横浜市の自殺者数は、政令指定都市で前年まで1位だった大阪市を抜いてワーストワンになった。これを踏まえ、横浜市こころの健康相談センターでは専門家の立場から自殺対策を推進している。医師で、横浜市健康福祉局担当部長で同センターセンター長の白川教人さん(51)は、「自殺に追い込まれる人の多くが、精神的に追い込まれうつ病などに陥り心の視野が狭まって、解決策は死しかないと思い込んでしまうのです。決して死にたくて死ぬのではありません。うつ病は医師による治療が必要ですから、精神科などの専門医を受診してください」と訴える。
「自殺は個人の選択の結果と思われがちですが、自殺者がみんな死にたくて死ぬのではありません。いろいろな要因で精神的に追い込まれ、死以外の解決策を探す余裕がなくなった末の行動ですが、その理解がまだ浸透していないですね」と、説明する白川さん。
内閣府の統計によると、自殺企図者の75%にうつ病やアルコール依存症などの精神疾患がみられ、中でもうつ病はその約半数を占める。しかし、うつ患者の4人中1人しか医療機関を受診していない。
「体の症状に気を取られて、自分がうつ病であることに気付かない人も多いのです」
医療機関の受診、相談を
「検査で異常がないと言われる体の不調はうつ病のサインのことも多いのです。また、うつ病はかつて『心の風邪』などというキャンペーンが行われたことから、『風邪のように軽い病気』『気の持ちようで治る』といった間違ったイメージを持っている方もいます。しかしうつ病は脳の病気です。薬による治療が必要ですし、治療すれば治ります」
同センターでは、昨年から横浜市立大学と共同で横浜市内の総合病院に勤務する研修医にうつ病への対応力を向上させる研修を行い、早期発見に務めている。
自殺者を年齢別に見ると50代男性が一番多く、次に60代、40代と続く。またどの年齢も女性より男性の自殺者数が多いのも特徴的だ。理由を一概にはまとめられないが、一般に男性は相談することが苦手な傾向があることが挙げられる。
横浜市では、いきなり専門家の門をたたくのに抵抗がある人に向けて、自殺対策サイト(http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/ikiyoko/)を4月にオープンした。アクセスすれば、相談窓口の連絡先が分かるようになっている。支援者のためのページもある。
「自殺未遂者は、後になって『生きていてよかった』と言います。生きたいという気持ちがあるのに亡くなるのは残念なことです。自殺の背景にはいろいろな問題がありますが、どの問題も死以外の解決方法があります。ぜひ相談・専門機関を利用して、自殺を防いでください」
まとめ
●死にたいという訴えの裏側には生きたいという気持ちがある。
●うつ病は気の持ちようで治る病気ではない。医師による治療が必要。偏見に惑わされず、受診すること。本人が無理な場合、周囲が同伴し、連れていく。
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横浜市こころの健康相談センター
問い合わせ部:TEL045-476-5505(横浜市民専用)
川崎市精神保健福祉センター
問い合わせ部:TEL044-246-6742(川崎市民専用) |
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