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“趣味を定年後の生きがいに” 大道芸人/山田プリンさん |
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器用に皿を回す山田プリンさん |
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40代からプラン立てる
定年退職後、大道芸人として活躍する山田プリンさん(60)。風船をまたたく間に動物の形に作り上げ、皿を回し、軽快に口笛を吹き、パントマイムをする。幼稚園や老人ホームなどに出向き、観客を楽しませている。定年後のプランは40歳のころから立て始めた。
「趣味を生きがいにしよう、と決意して準備を始めました。芸を人前で披露して喜んでもらえることにこちらも感動します」と語る。
幼稚園、老人ホームへ出張 “喜ばれることがうれしい”
先日、山田さんは小田原の幼稚園で大道芸を披露した。見せるだけでなく、80人の園児に風船で動物を作らせたり皿回しを教えると、「子どもたちはとても喜んで、大はしゃぎでした」。思い出す口ぶりもうれしそうだ。
「特別養護老人ホームで口笛を吹いたとき、普段まったく反応のない老人が歌を口ずさんこともうれしかったですね。施設の方も驚いていました。こういった感動が大道芸のだいご味。わたしの生きがいです」と、喜びは尽きない。
20代で習った腹話術が始まり
山田さんは15歳で地元、茅ケ崎の精密機械の会社に就職。20代の時、入社してきた聴覚障害者と一緒に仕事をするために手話を習い始めた。手話をきっかけに出会った人の勧めで腹話術を習い、市の社会福祉協議会にボランティア登録して、人前で披露するようになった。
「でも、腹話術だけでは5分とネタが続かない。そこでパントマイムを習い始め、次にマジックバルーン、次に口笛を習ったんです」
思い立ったら即、行動派だ。教室を見つけて申し込み、技を習得する。「口笛も、プロに習うと低音から高音の持っていき方がスムーズになりました。やはり習うと違います」
教室で出会った人や先生のアドバイスは、1人で始める際に参考になった。
仕事で疲労困ぱい 趣味を生きがいに
転機は40代の時。自宅から徒歩15分の場所にあった工場が閉鎖し、1時間半かけて川崎市まで通勤することになったのだ。それだけでなく、社内の人間関係にも苦労した。
「仕事がすごく辛かったです。転職活動もしましたが、うまくいかなかった。そこで、これからは趣味を生きがいにしようと決めました。定年後のプランもたて始めました」
アルバイトは会社から禁止されていたが、週末の大道芸はこっそりと続けた。
「見つかったら懲戒免職ですから、退職金がもらえません。でも妻も止めませんでした。わたしが生き生きしていたからでしょう。休日、家で寝ているよりもいそいそと出掛ける方がいい(笑)。妻はピエロの衣装も縫ってくれましたし、大勢相手の時は娘も一緒に手伝ってくれます。家族の支えがあったから続けることができました」
定年後のライフスタイル講座に通う
仕事の依頼は、ホームページを通して受けている。今の時代、インターネットの力に頼らざるをえないことは勉強して分かっていたが、あまり得意ではないのでプロに委託している。また、ギャランティーの目標額もたてた。こういったことは、定年後のライフスタイル講座で学んだ。
「月に7件ぐらい依頼があることもありますが、少ない時もあります。でも続けたいですね。大道芸をやめたいと思ったことは一度もないです。定年後を楽しく過ごすためには、まず趣味を持つことだと思います」
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