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「喜びがわたしの活力」 横浜・川崎ふるさと生活技術指導士の会会長/加藤君江さん |
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加藤君江さん |
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地場野菜の家庭料理普及に尽力
神奈川県内の野菜を使って、簡単でおいしい昔ながらの家庭料理や保存食を次世代に伝えようと活動する指導士の会が、県内にはいくつかある。地区ごとに料理教室を積極的に開催しており、なかでも「横浜・川崎ふるさと生活技術指導士の会」が行う料理講習会はいつも即日定員になるほどの人気だ。受講者も20代から80代まで。同会会長の加藤君江さん(76)は、「食を大切にする人はいくつになっても達者です。喜んでもらえることがわたしの活力です」と話す。
横浜・川崎ふるさと生活技術指導士の会が手掛ける料理講習やセミナーは、常に30分で定員になるほどの人気だ。2008年は「ふるさと野菜の料理教室」と題し、季節ごとに教室を設けた。メニューは高級なものではなく、季節の食材で簡単にできる家庭の惣(そう)菜だ。地場の野菜を使えば冷凍のものに頼らなくて済むし、旬の食材が一番健康にいいということを実感してもらうのが狙いである。
教室には高齢の受講者が必ずいる。時には80代の生徒も。「食に興味のある人は年齢に関係なく元気」と加藤さんは断言する。
嫁ぎ先で腕を磨く
平塚市から、横浜市金沢区の農家に嫁いだ加藤さん。
「結婚当時、金沢文庫の駅前周りは一面ハス田だったんですよ。結婚して10年ぐらいはハスを出荷していましたが、宅地開発で田畑を手放すことになって夫はサラリーマンに。わたしも専業主婦になりました」
実家も農家だったので、「専業主婦は少し物足りなかった」と笑う。しかし、義父が記憶にあるうちは同じ食べ物を決して口にしない人だったため、料理の腕を磨くことに精を出した。「漬物でも、朝と同じものは食べないの。これはおしんこじゃない、お古こだ、って」
品評会の常連に
義父の要求に応えていくうちにレパートリーは増えていった。また農協の品評会の常連となり、毎年のように梅干、ラッキョウ、果実酒、ジャムなどで賞を獲得。「自己流ですけど、丁寧に調理するからかしら」。その腕前を買った農協関係者から声がかかり、地元野菜の普及のために手作りの料理を持ち寄る会合に出席し始める。その活動が現在の指導士の会につながっている。98年には会の仲間と自費でレシピ集も出版した。
喜びを力に
現在も保存食はお手の物。スイカの皮も捨てず漬物にする。事件が起こる前から冷凍食品は買ったことがない。
「毎日の食事の大切さはすぐに結果は出ないけれど、10年20年後では取り返しはつかない。だから手をかけることが大事なんです」
ついつい面倒になる食事の支度を楽しむこつは、「喜んでもらうことを力にすること」と加藤さんは言う。
「教室でも普段の生活でも、褒めてもらったり喜んでもらうことや人の役に立つことが一番の励みです。若い時はつらい時もありましたけれど、今ではいい勉強になったと感謝しています。これからも食の大切さを伝えていきたいですね」 |
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