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しつらい 日常生活に取り入れよう 四季折々の会/吉野圭さん |
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五節句の装飾を伝授
「しつらい」。この言葉になじみが薄れてきてどれくらいになるだろうか。そんな世流に反して、和のしつらい教室「四季折々の会」を立ち上げ、活動している女性がいる。「五節句を大切にした生活を提案したい。日本の行事っていいものなんです。この年齢になってこそ楽しめるものなのでは」と指導する吉野圭さん (60)は語る。
しつらい、とは平安時代、祝いの日に寝殿に調度を立てるなどし室内を飾ったことを由来とする言葉だ。「部屋をしつらう」などと表現することもある。
「しつらいをすることはお客さまを迎える気持ちを表すものでもありますが、日々の暮らしの中に五節句の装いを取り入れることで、例えマンションであっても空間も心も豊かになるのではないでしょうか」と吉野さんは熱っぽく語る。
五節句は江戸幕府が定めた制度で、本来は七草、桃、菖蒲(しょうぶ)、七夕、菊の5つの節句を指す。制度は明治に廃止されたが、民間行事として庶民の生活に生き残った。しかし昨今は自宅で祝う人は減少している。
吉野さんはこの五節句を踏まえたうえで独自にアレンジを加えた。七草に正月を足し、菊の重陽では月見も入れ、五節句には入らないがなじみのある節分も祝う。会ではそれぞれの節句の由来、意味、歴史を説明し、簡単な装飾を提案する。
「菖蒲の節句では色々な色の折り紙でかぶとを折って黒塗りのお盆の上に置いたり、桃の節句では桃の花の写真を額に入れたり、七夕では星写しのお皿をベランダに置いたり。季節の柄に合わせた帯揚げを敷物に使ったりもします」
そもそも、なぜ、しつらいをすることが良いのだろうか。
「行事を大切にすると、はれとけのメリハリがついて、楽しくなります。また五節句はわたしたちの子どものころからある行事。肌になじんでいるので、祝うと心がなごみます」。吉野さんは、五節句を生活文化だと考えている。「文化はやめてはいけない、継続しなくては意味がないのでぜひ次世代にも残したい」とこぶしを握る。
吉野さん自身、子どもが小さいうちは行事もやっていたが、子どもの成長とともにしつらいからは遠ざかっていた。しかし、ある仕事の付き合いで「和の文化」の良さを再認識する機会があり、40歳を過ぎて再び目覚めた。青葉区にある「寺家ふるさと村」で茶懐石の会を始め、茶も習い始めた。国学院大学の授業も聴講し、自分なりにしつらいについて学んだ。
一般に、しつらいや部屋の飾りつけは「ハイソサエティー」の楽しみだと思われがちだ。確かに都会的で洗練されたしつらいもいいが、生活文化なのだからもっとのんびりやってもいい。そう思い、「四季の会」を立ち上げた。生徒は口コミで集まり、1年間の授業の後も旅行に行ったり、歌舞伎を見に行くなどの交流がある。仕事の合間に「心のゆとり」と足を運ぶ人もいるという。
「あわただしく過ぎていく毎日の中で、ちょっと心遊びをするつもりで五節句のしつらいを学んでみませんか? 和室がなくても狭くても、しつらいは楽しめます。横浜の山野草を使って、ここならではの飾りつけをお教えしますよ」
◎四季折々の会のイベント情報
27日(金)午前11時「七夕」をテーマに開催。抹茶と和菓子付き
場所:東急線あざみ野駅前の教室
会費:2万1000円(全6回)
問い合わせ&申し込み:TEL 090-1850-2168(吉野) |
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