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ヨコハマから世界へ 『on the wind』代表/石井宏枝さん |
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「若者の背中押したい」 |
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横浜市中区に、アーティストの“卵”を応援するギャラリー「on the wind」が5日(土)オープンした。「横浜から世界へ」へ羽ばたく若い芸術家を支援するため、横浜市と (財) 横浜企業経営支援財団から支援も受けている。鑑賞は無料だが予約制で、作者本人の解説を聞きながら鑑賞することができるのが特徴だ。同ギャラリーを管理する非営利団体「on the wind」の代表・石井宏枝さん (55) は、ソニーを早期退職後、フリーのプロデューサーとして活躍する一方、「若い世代の背中を押す番だ」と感じ、ギャラリーのオープンを決意。加えて、ギャラリーのある伊勢佐木町を「ジェントリフィケーション (都市の再活性化) によって雰囲気の変わった、ニューヨークのイーストビレッジのような活気ある街に戻したい」と意気込む。
若いアーティストのプロデュースに尽力
一昨年に早期退職するまで、ソニーに29年勤務した石井さん。「愛・地球博」の大型映像や、広島県・厳島神社で広島被爆50年オノ・ヨーコ祈念コンサートなど数々の大規模な企画を立ち上げ、遂行した経験を持つ。
退職後、1年間休養して女子美術大学の講師を引き受けた。生徒たちには「びっくりするほどのエネルギー」があり、大型新人アーティストの片りんが見られる子も多く、心が躍った。一方で、入学時のエネルギーが就職を考える時期になると迷いから曇ることも知り、早い段階から外部にさらした方がいいのでは、と考え、ギャラリーのオープンへとつながった。
「褒められたり、批評されたりしてやっとやりたいことが見えてくる。ちょっとヒントを渡すと一気に伸びる子もいます。わたし自身ソニーで仕事をご一緒したアーティストに育てていただいたように、若い無名の芸術家の背中を押したいと思うようになりました」
学生には展覧会告知のカードの作り方から客への声の掛け方まで細かく教える。ギャラリーは予約制にして、ゆっくり鑑賞できるように配慮した。3月にプレオープン期間を設けたところ、茶を飲みながら解説を聞けることを喜ぶ観客の声が多かった。
伊勢佐木町の復興も願って
つたないながらも懸命な説明を聞きながら鑑賞すると、理解できなかった作品にも親しみがわく。また、定年世代なら普段接触のない若い世代からエネルギーをもらえることだろう。「世代を超えた交流は、双方にとっていいことだと思います」と石井さんは自らの経験もふまえて同意する。
ギャラリーは関内の伊勢佐木町商店街脇にある。立地はそれほど良くないが、ここに決めたのは幼少期を伊勢佐木町で過ごした「ハマっ子」としての思いからだ。
「ニューヨークのイーストビレッジはかつて麻薬取引が横行するストリートでしたが、芸術家が住むようになってから様変わりしました。わたしはそれを実際に目の当たりにしたので、伊勢佐木町の復興も願わずにはいられない。おこがましいのですが、ギャラリーがオープンすることによって復興の微力になり、横浜の人に喜んでいただきたいのです」。自身の活動によって誰かを喜ばせることが石井さんのモチベーション。とりわけ地元の人の感謝がうれしいと話す。
ヨコハマから世界へ飛び立つアーティストを育てたい─。ライフワークを見つけた石井さんは、第2の人生をおう歌している。
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