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ハワイの驚き! 1冊の本に 多摩区/高橋美恵子さん |
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「旅行中から、『これは本になるんじゃない?』と冗談で話していました」と振り返る高橋さん |
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無駄なく、妥協せず
初の本作り 高い満足度
一生の記念に本を書きたいと考えている人は多い。ホームページやブログと違い、手元に形として残るのはうれしいもの。
ことし夏に著書「アロハワイ 夫婦でコンドミ・スッカラカン滞在記」を自費出版した川崎市多摩区の高橋美恵子さん(59)。初めてながら満足度の高い作品にすることができた。その秘けつは「無駄を省き、妥協しないこと」と話す。
2006年5月、おいの結婚式に出席するために訪れたハワイで経験した「驚き!」の1カ月の体験をまとめたのが、高橋さんの著書「アロハワイ 夫婦でコンドミ・スッカラカン滞在記」だ。
夫婦でのんびり南国の余暇を楽しむつもりで日本を発った高橋さんだが、安全といわれるハワイで盗難に遭ってしまった。警察を呼び、カード会社に連絡を取り、パスポートを取得するために右往左往。ポリスも無表情なアジア系から陽気なネイティブアフリカンまでさまざま。次々と起こる災難に立ち向かう4人の家族の様子が生き生きと描かれ、読んでいて思わず笑みが浮かぶ1冊だ。装丁もセンスがいい。
日頃からよく文章を書いているのかと思いきや、そうでもないという。
「でも今回のことはさすがにみんなで『本になるんじゃない?』と冗談で話していました」。帰国後、記憶をたぐりながら少しずつ書き出した。
構えず、気軽に書いてみよう
北海道に互いの実家がある高橋さん夫婦は、家族の介護で家を1カ月空けることもある。普段もこまごまとした用事や家事に追われ、ゆっくりできる時間はほとんどない。それでも食後や時には洗濯をしながら、わずかな時間を見付けては原稿用紙に向かい、40時間ほどで完成させた。
若いころデザインの仕事に携わっていたという高橋さんは、「分かりやすさ」の大切さを熟知している。執筆の際もその点に気を付けた。「年を取ると話が長くなるけれど(笑)、無駄を省くことが一番大切です」。勢いのあるうちに書き上げたのも効を奏し、いつもは辛口な夫が「面白い」と褒めた。会社から帰宅した娘が読んでくれるのも励みになった。「家族に見てもらったのは良かったと思います。子どもから大人まで楽しめるかどうかが分かりますから」
どうせなら記念に出版してみようと思い、原稿を出版社数社に送ったのが昨年夏の終わり。9月の半ばには出版社との打ち合わせに入っていた。
出版するにあたっては編集者の熱意の強さ、デザイナーのレベルを決め手にした。デザインやレイアウトの打ち合わせは何度も詰めた。特に表紙の色刷りはかなり回を重ねた。
手元に自著が届いたのはことしの5月。「最初は本にしようなんてまったく思っていませんでしたが、やはり作ってみるといいですね。家族の記念になりました」と愛おしそうに本に手を置く高橋さん。「やると決めたらいい物にする、妥協はしないことが当たり前」という心意気がいい仕上がりを生んだ。地元の書店にも置いてもらえることになり、評判も上々だという。
「作家になるわけではないのだから、構えず、気楽に書いてみるのが一番です!」 |
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