|
「趣味でも何でもとにかく徹底的に挑戦したら、新たな人生が開けるのでは」と話す萩野矢さん |
|
サラリーマンから写真家へ
横浜ユーラシア文化館で写真展「青い煌 (きらめ) き ウズベキスタン」を開催中の写真家・萩野矢慶記さん (69) 。44歳の時、サラリーマンからカメラマンに転進した。「定年を迎えるかたにはこれまでの人生の延長ではなく、新しい世界に挑戦してほしい。趣味でも何でも、自分のテーマを見付けて徹底的に挑戦すると新たな人生が開けるのだと思います」と定年世代にメッセージを送る。
【はぎのや けいき】
1938年栃木県生まれ。会社員を経て83年に写真家転進。「世界のこども」「旅」の写真を主に撮影。著書に「ギリシア夢紀行」「ウズベキスタン─シルクロードのオアシス」などがある。
車両機器メーカーの営業一筋16年間。「物流のスペシャリスト」の地位をかなぐり捨てて、44歳で写真の世界に飛び込んだ萩野矢さん。もともと写真は趣味で、3回連続して外務大臣賞を受賞するほどの腕前だった。
「プロを意識するようになってから、自分のテーマを持とうと思い、会社を辞める2年前から『遊ぶ子ども』を被写体に撮り始めました」
テーマを絞ったことが功を奏し、1983年に「遊べ 東京っ子」と題しコニカフォトギャラリーで開催した個展は好評のうちに終了。好調なプロデビューを果たした。
転進成功は、「サラリーマン時代に培った企画力や、それを出版社に売り込む営業力があったからでは」と分析する。不安も無くはなかったが、「失敗したらまた戻ればいい」と、かばんに写真をいっぱい詰めて飛び込みで出版社を回った。幸い、大手の出版社がブックレットを出してくれることになった。
しかし、「遊ぶ子ども」というテーマも、電子ゲームの登場や受験ブームなどで子どもが外で遊ばなくなり、追い掛けづらくなった。見切りを付けた萩野矢さんは、「旅」にテーマを切り替えた。写真コンクールの賞として招待されたギリシャに熱中し、数冊の本を出版。9年間で19回も渡航した。
目標の達成の喜びをバネに
10年ほど前からは、ウズベキスタンに注目し、日本では初となるウズベキスタンのガイドブックを出版した。きっかけは旅先で訪れて興味を抱いたのだが、帰国後、ウズベキスタン駐日大使に面会し、全面的な協力を得てから仕事を進めたというからその行動力には驚く。最近のシルクロードブームと珍しさもあって非常に注目され、写真展には黒田清子さんも訪れた。
萩野矢さんは「写真家は芸術家ではない」ときっぱり言う。「特別な世界だと思ったらだめ。どういうニーズがあるのかを考えないとだめです」。撮りたい物とニーズが合わない場合は、趣味で撮ればいいという。この割り切りも成功の秘けつであろう。
40代で第2の人生をスタートさせた萩野矢さん。定年後の時間の使い方に悩む人にアドバイスをくれた。「趣味でも何でも、とにかく徹底的に挑戦したら新たな人生が開けるのではないでしょうか。同じ旅をするのでも、目標を持って旅をするといいですよ。何かに挑戦してそれを成し遂げた時の感動がないとつまらないですから。そしてその喜びが前に進む力になります。せっかく定年を迎えるのですから、ぜひ自分のテーマに取り組んでみてください」
萩野矢慶記写真展「青い煌き ウズベキスタン」
開催 : 9月2日(日)まで
場所 : 横浜ユーラシア文化館 (みなとみらい線日本大通り駅直結)
料金 : 一般500円
TEL:045-663-2424 |
|
|
|
|
| |
|