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  横浜・川崎版 平成19年2月号  
“銭湯すたれば人情すたる”  川崎浴場組合連合会会長/高 巌さん

高さんは川崎市の市議も4期務めた
 
「デーセントー」全国先駆け実施
 2月6日は「風呂の日」。川崎浴場組合連合会は、当日おふろまつりを開催する。全国でもいち早くデイサービスに協力して「デーセントー」を導入した川崎市。連合会会長の高巌さん(たかいわお・71)が銭湯の魅力を語る。

 東急東横線新丸子駅から徒歩5分ほどの場所にある「丸子温泉」が、高さんの経営する銭湯だ。父親が1945(昭和20)年に創業し、高さんが引き継いだ。湯は地下160メートルからくみあげる鉱泉を沸かしている。銭湯としては珍しく午前10時に開店するとあって、現在も足しげく通う人が多い。

 2月6日の「おふろまつり」は子どもが入場無料に、大人にはオリジナルタオルをプレゼントするというもの。もともとは銭湯離れのてこ入れとして企画された案で、20年ほど開催されている。

 「昭和30〜40年にかけて住宅事情が良くなり、銭湯の需要が減ってしまった。けれども裸の付き合いというのは大事です。それがあれば、今みたいな殺ばつとした殺し合いの世の中にならないと思う」と話す高さん。

 川崎市で銭湯を営む人は、信越北陸出身の人が多いという。高さんの先代も石川県出身で、戦前は川崎にあった輪転機会社の社内にあった銭湯に勤あめていた。

 
番台に座り続けて60年(?)の鈴木トシコさん。「ここが建ったころから居るのよ」
 同連合会の広報を務める川崎区「星乃湯」の星野実さんの祖父も新潟から兄弟そろって一旗揚げようと上京し、銭湯にでっち奉公に入ったと星野さんは話す。そんな共通点もあってか、同連合会は結束が強い。今では80軒になってしまった市内の銭湯を、なんとかして存続させ盛り上げようと全員で努力している。

 例えば、全国でも川崎市がいち早く導入したという「デーセントー」。デイサービスを行っている団体に会場として銭湯を開放している。介護保険の対象とならない高齢者でも原則500円で利用できる人気のシステムだ。市内の各区にデーセントーを行っている銭湯があり、午前10時の健康チェックから始まり、レクリエーション、昼食、入浴を行って午後2時に解散する。銭湯もにぎわい、高齢者は気分転換ができる活気的なシステムだ。

 そのほかに毎月1日は65歳以上の市民は入浴無料、毎月第2土曜日は65歳以上の市民は半額、毎月第4土曜日は保護者同伴の小学生以下の子どもが無料など、さまざまなサービスを打ち出している。

 詩人の田村隆一は"銭湯すたれば人情すたる"と詠んだ。いつの時代になろうとも、人のぬくもりを忘れたくない−。そんな思いの込められた煙が今日も煙突から上がる。

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