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  茨城版 令和4年1月号  
“かわいい”作品で人を笑顔に  日立市のミニチュアドールハウス作家・中村智恵さん

中村智恵さん
25日から個展開催、「想像の世界で楽しんで」
 19世紀ごろまでは、欧州貴族の女の子の玩具だった模型の家「ドールハウス」。しかし、精巧で芸術性豊かな造形が人気を呼び、現在は世界中に愛好家がいる。日立市のミニチュアドールハウス作家・中村智恵さん(46)も、その魅力と出合った一人。25日から水戸市で個展を開催し、自身が制作したドールハウスやミニチュア家具を展示する。欧州旅行で目にした家がモチーフの自作に寄せる思いを語る。「見た人がそれぞれの想像の世界に入り、時間を忘れて楽しんでほしい。(コロナ禍で)気軽に旅行に行けない今、旅の気分を味わっていただければ…」

  「ドールハウス」の起源ははっきりしないが、16世紀にドイツで作られたという記録が残っている。「実寸の12分の1」が一般的な大きさ。小学生のころからミニチュアが好きだった中村さんは、「東京の祖母の家に遊びに行ったとき、デパートでドールハウスの本を眺めて、『かわいいなあ』と思っていました」と回想する。

 20代のころには、ドールハウスのショーに行き始めた。結婚・出産後は家事と子育てに追われたが、「子どもが幼稚園に通い出すと、少し自分の時間が持てるようになりました。それで大好きだったドールハウスやミニチュア家具を、趣味として作り始めました」。

通院がきっかけ
 6年から7年ほど前、中村さんは、病気治療のため通院していた病院で、ドールハウスが好きな看護師と知り合った。その看護師は「中村さんが個展を開くところを見てみたい。頑張って元気になろうよ」と、声を掛けてくれたという。

 回復後、中村さんは制作に励んだ。「ドールハウスを20個くらい作ったら、小さい個展を開くという目標を立てました」。そして5年半ほど前、日立市内のカフェ・雑貨店で初めての個展を開催。それ以降は、「作家」としてさらに制作に情熱を注いでいる。

感動を“心の引き出し”に蓄積
 「ドールハウスの本を見たり、展覧会や美術館に行ったりして、自己流で作っています」。若いときの欧州旅行で目にした、イギリスやドイツなどの家をモチーフにしてドールハウスを制作。大きくて豪華な屋敷ではなく、一般の人たちが住む家を“再現”している。「普段は映画を見たときの感動、本を読んで受けた『好きだなあ』といった印象を“心の引き出し”に蓄えています。制作するときに、それを作品に込めています」

 ドールハウスの建物や家具は木製。クッションやソファなどには布を使う。食器、食べ物の材料は樹脂粘土だ。これらを組み合わせて形を作り、アクリル絵の具で色を付ける。中村さんはドールハウスの中に、人形を入れない。「例えば『自分が(ドールハウスの中に)入っていたらどうかな?』という感じで想像力を働かせていただければ…」

 2階建ての一軒家のドールハウスは、1メートル四方くらいの大きさになる。「小さいパーツをたくさん作らないといけないので根気強さが必要。本当に大変です」

生活感伝わるよう苦心
 中村さんは「見る人がそれぞれの空想の世界に入り、『オリジナルストーリー』を描けるような作品が理想」と話す。そのために、「空想の世界に入りやすいよういろんなところに気を使っています」とも。住む人の動きが感じられる階段やドアを家の中に取り付けた上で、家具のサイズなどに違和感を持たれないよう注意するという。「スーパーで買ってきた物が台所に置いてあるような、普通の人の生活を表現しています。塗装を工夫して使い込んだ感じを出したストーブを置くなどして、生活感が伝わるように苦心を重ねています」

 中村さんは、「ドールハウスを見た人は皆さん、『かわいい』と言って笑顔になります。作家になって良かったと思います。新しい年も想像の世界に浸り楽しんでもらえるような作品を作っていきたいです」と目を輝かせている。


中村さんが作ったドールハウス
中村智恵 ミニチュアドールハウス展
   〜身長14センチで小旅行!

 25日(火)〜3月20日(日)、常陽史料館(JR水戸駅からバス)で。
 中村さんが制作したドールハウスを展示する。時間は午前10時〜午後5時45分。
 入館無料。Tel.029・228・1781

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