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飛田祥子さん |
講座や個展など多彩に活動
素材を自由に組み合わせられるアクセサリー作り、感謝や喜びを伝える「笑い文字」、安全な水溶性の画材を使う「キットパスアート」…。中学校の美術教師だった、日立市の飛田祥子さん(66)は、これらの講師資格を取得。教職の経験も生かして、講座を開いている。「楽しくて形になり、思い出にもなる1日だけの“1day講座”です。『ドラえもんのポケット』のように、要望に応じてお教えします」と話す。「『楽しい! できる!』という体験を通して、日立の人たちを元気にしていきたいです」
飛田さんは、60歳で公立中学校の美術教師を定年退職。定年後、以前からの趣味だったアクセサリー制作に本格的に取り組み、4年前からは「Hana*tanpopo」のアーティスト名で活躍の場を広げている。昨夏には、初めて個展を開催。今年に入って、「楽習フォーラム」が認定する「ワイヤーレース・ジュエリー」の講師資格を取得した。「ワイヤーレース・ジュエリー」はヨーロピアンワイヤー(針金)を編んで作るアクセサリーの一種で、華やかな印象の作品が多い。今年2月と7月には、帽子や織物などの作家たちと共に、グループ展を開催した。飛田さん自身が指導する講座では受講者たちがビーズなど、さまざまな素材や色の組み合わせを自由に楽しめる。「創作する人の感性が生きる、まさに世界に一つだけのアクセサリーです」
飛田さんが制作した「笑い文字」 |
「渡して完成」
「笑い文字」は3年前から始め、昨年、(一社)笑い文字普及協会中級講師の資格を取得した。「笑い文字」は、白い紙に、黒と赤の筆ペンで文字を書き、文字の中に笑顔のイラストを入れ、メッセージを添える。飛田さんは、受講者に「ありがとうという言葉を誰に書きたいですか?」と尋ねる。「いつでもどこでも誰にでも…、『満面の笑顔』の作品を作り、感謝を伝えることを大切にしています。『書いて半分、渡して完成』といわれるコミュニケーションツールです」
「キットパスアート」との出合いも、定年後だ。「キットパス」は、日本理化学工業(株)が製造・販売する、新しいタイプの画材(チョーク)で、人体に安全な原料を用いている。窓ガラスなど、つるつるしているところにも描け、水拭きで消せる。同社が障害者雇用を推進していることを知り、「私もインストラクターになりたいと思いました」。同社の養成講座を受講し、昨年、キットパスアート本部認定講師の資格を得た。
「自分らしさ大切」
アクセサリー作り、「笑い文字」、「キットパスアート」などの講座は、年代や障害の有無を問わず楽しめる。各講座で大切にしていることは、「自分らしさ」。飛田さんは、こう話す。「皆さんが『自分はどう思っているのか?』『自分は何をしたいのか?』などを考えた上で、『どう表現するか?』ということを自身に問い掛けていただければ…」。例えば、アクセサリー作りの講座で赤いビーズを選んだ受講者は、「自分は赤が好きだったのだなあ」などと、あらためて自分を見ることができるという。「受講者の笑顔が喜びです。自分が楽しむことで、楽しさを伝えることができると思っています」
教職の経験を生かして、社会との関わり方を模索し続ける飛田さん。「資格を持っている」ということについては、「受講する人の信頼と安心につながるので大事にしたい」と話す。8月と9月には「笑い文字初級講座」、11月には、自作のアクセサリーと古い着物のリメークをしているグループ「OHARIKO」との“コラボ展”となる「秋いろ展」を予定している。「定年退職を迎える前から、私なりのビジョンを持ち、それに向けて行動していった結果、第2の人生が充実しました。そんな経験や思いも、皆さんと分かち合っていけたらうれしいです」 |
◆ 「笑い文字初級講座」 ◆
8月27日(木)、9月24日(木)、ジュン・ホーム鮎川展示場「ぎゃらりや」(JR常陸多賀駅からバス)で。両日とも午後2時〜3時半。「ありがとう」の「笑い文字」を制作する。受講費3300円。問い合わせは飛田 Tel.050・5438・6893 |
◆ 「秋いろ展」 ◆
11月21日(土)〜29日(日)、ギャラリーのざわ(JR勝田駅からバス)で。アクセサリーと古い着物のリメーク品を展示。午前10時半〜午後5時(最終日は午後4時半まで)。水曜日定休。問い合わせはギャラリーのざわ Tel.029・274・1877 |
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