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昨年12月、常陸太田市の立川醤油(しょうゆ)店で開催された「第3回切り絵展」で。竹蓋さんの後ろに見えるのは、「左近の桜」「梅」など水戸市の偕楽園の四季を表現した5枚1組の「偕楽園タペストリー」 |
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2月の「真壁のひなまつり」にも出展
桜川市真壁町の町並みなどを切り絵で表現する竹蓋年男(たけふた・としお)さん(59)。竹蓋さんは「真壁切り絵の会」を結成し、まちおこしに取り組んでいる。2月4日から約1カ月間開催される、同町の一大イベント「真壁のひなまつり」にも切り絵作品を出展し、まつりに彩りを加える。「真壁は、石と蔵の町だけではなく切り絵の町にもなりつつあります。『真壁のひなまつり』をぜひ見に来てください」と竹蓋さんは呼び掛ける。
1本のカッターで、紙を切り抜くだけでできる切り絵。ルーツは約1500年前、中国で生まれた剪紙(せんし)で、お守りや縁起物として使われてきたという。日本では鎌倉時代に宮崎県の高千穂神社で、簡単な切り絵をささげたのが始まりとされている。その後、染め物の型紙として発展した。
本業は学習塾講師
日立市出身の竹蓋さんの本業は、学習塾の講師。2003年に真壁町に赴任した。「風情ある町並みなどに魅せられて写真を撮り始め、お世話になっている真壁の人たちに何らかの形を残そうと切り絵を始めました」
14年5月には、同町の伊勢屋旅館で第1回切り絵展を開催。「伊勢屋旅館・若女将(おかみ)の『真壁にはひなまつりしかないよね、と言われるのが悲しい』という一言から年間おもてなしの町を目指そうと思いました」
女将の言葉がきっかけで竹蓋さんは切り絵でのまちおこしを本格化。同年6月、切り絵教室を開催し、9月には「真壁切り絵の会」を発足させた。さらに10月、真壁に31基の花行灯(あんどん)を設置し、カラーの切り絵を入れて飾るようになった。「千葉県流山市で行灯に切り絵を入れてまちおこしをしていると聞き、『真壁切り絵の会』のメンバーらが見学に行きました。とてもいい感じだったので、真壁でも花行灯を作ることになったのです」と竹蓋さん。1基につき3枚、2カ月に一度、切り絵の会のメンバーを中心に、商店会の人たちが行灯に入れる切り絵を交換している。
竹蓋さんの切り絵作品「3月3日の御陣屋前通りにて」。「最も活気のあったころの一場面です。このわずか1週間後に、東日本大震災が起こるとは思いませんでした」 |
1枚制作に約1カ月
これまで竹蓋さんが作った切り絵は300点以上。真壁の町やひなまつり、真壁で頑張っている人々などが主な題材だ。1枚作るのに約1カ月、約100時間かかるという。「物心ついたころから絵を描いています。切り絵は独学で、写真の構図を参考に自分の発想で作っています」。白い紙に下絵を描いて黒い和紙に重ねてデザインナイフで切る。和紙は西ノ内和紙を使用。小さく切った着物などの古布やカラーの和紙で彩り、より温かみのある雰囲気を醸し出した作品も。
県内各地で個展
竹蓋さんの個展は真壁だけではなく、常陸太田市、日立市などでも開催され、19年には、水戸市の常陽史料館での個展も実現した。また、茨城新聞に「切り絵で語る真壁」など2度にわたり連載され、切り絵が真壁のひなまつりのポスターにも採用されている。このほかブルガリアのシリストラ市へ山桜の切り絵を寄贈したことも。
「今後は、私のふるさと・日立でも活動を広めていきたいです」と竹蓋さんは抱負を語る。
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◆「真壁ひなまつり 和の風十八章」◆
2月4日(火)~3月3日(火)、真壁市街地(JR岩瀬駅から車で約30分)で。竹蓋さんの切り絵は伊勢屋旅館、若松屋(衣料品店)など、「真壁切り絵の会」会員らの切り絵は、阿波屋(ガラス・サッシ店)などで展示される。
問い合わせは桜川市商工観光課 Tel.0296・23・8200
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◆ 切り絵教室 ◆
伊勢屋旅館(JR岩瀬駅から車で約30分)で。年10回開催。参加費2000円(ランチ付き)。開催日などの問い合わせは伊勢屋旅館 Tel.0296・55・0176 |
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