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皮むき間伐で森林再生 水戸市のNPO「きらめ樹森の守り人」 |
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「レッツきらめ樹!」。活動にはメンバーとともに水戸市内の就労支援施設利用者も参加 |
戦後日本では、雑木林の木を木材に適したスギ、ヒノキなどに植え替えていった。しかし、コストの安い外国の木材が流入するようになると、間伐(森林の健全な発育を促すため一部の樹木を伐採すること)など適切な手入れもされず放置される森が多くなり、やがて草花が育たない、動物や鳥も来ない、暗く荒れた森が出現するようになった。「きらめ樹」とは皮むき間伐方法の愛称。水戸市のNPO「きらめ樹森の守り人」は、「きらめ樹」活動で森を再生し美しい森をよみがえらせようとしている。「水分が抜けて軽くなっている木は誰でも運び出せます。森で『きらめ樹』活動を一緒に体験してみませんか」と同団体リーダーの西野智子さん(52)は呼び掛ける。
楽しみながら環境保全活動
西野さん |
西野さんは、静岡県のNPO法人「森の蘇り」理事長・大西義治氏が、荒れた森の手入れが必要と、日本各地を講演して回っていることを知人から聞き感銘。「私はこの活動をやりたかった」と西野さんは、現メンバーの井坂陽子さん(59)を誘い静岡県本部でのリーダー研修に参加。2018年、賛同者らとともに「きらめ樹森の守り人」を発足させた。
「かねて森林の現状の問題について危惧していましたが、誰かがやってくれるだろうと思っていたんです…。『きらめ樹』の活動は女性も関われることに魅力を感じ飛びつきました」と西野さん。メンバーの笠原昭彦さん(66)も、「西野さんの考えに同感して参加しています」とうなずく。同団体のメンバーは現在約20人。全員50代以上で男女は同数だ。
森での活動は5月〜8月
森で「きらめき樹」活動を行うのは5月〜8月。森林の樹木を1本ごと採寸・記録し、育てる木と間伐する木を区分する。間伐対象となった木には竹ベラを差し込み、一人一人がはがした皮を持てるよう皮をむく。そして数人で木を取り囲み「レッツきらめ樹!」のかけ声で一斉に皮を引っ張ると上の方まで皮がむける。木が根を張ったまま1年半ほどかけ自然乾燥させるという。
「木をゆっくり立ち枯れさせるので、幹に負荷なくきれいに乾燥させることができます」とメンバーの西原昇治さん(70)。西野さんも続いて解説。「普通は木を横にして機械で乾燥させます。それに対して『きらめ樹』で間伐した『きらめ樹材』は、丈夫で長持ちで木の香りも残り、抗菌作用もあります」
通常、職人に依頼し木を伐採するとなると高額な費用が必要となる。伐採した木を製材して販売したとしても赤字になることもあり、そのため森は放置されやすいという。「われわれは地主さんに許可を取り、無料で森の手入れをさせていただいております。ただしその見返りとして、伐採した木を無料で持ち帰らせていただいています」と西野さん。「きらめ樹材」からは、床材、壁材、家具、食器など生活に密着した商品を作り、適正な価格で販売するという。「製材機を購入しないといけませんが予算がなくて苦労しています」と井坂さん。
10月には「感謝祭」開催
秋の終わりころからは広報活動、10月には「きらめ樹森の守り人・感謝祭」を行う。「きらめ樹」活動には若い母親らが子連れで参加し、木々にハンモックを掛け楽しむ姿も見られるという。西野さんはほほ笑む。「自分たちができることを無理せず楽しくやっていくうちにいつのまにか地球の役にたてることを願ってます。森を中心に多世代交流、コミュニティーが生まれてきています」 |
◆ 「きらめ樹」森の活動参加者募集 ◆
7日(水)、21日(水)、31日(土)の各日午前10時~正午、水戸市内森林地で。雨天中止。活動場所など詳細は問い合わせを。西野 Tel.080・3430・7744 |
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