|
|
映画「ある町の高い煙突」…環境破壊との闘い描く 監督・松村克弥さん |
|
|
|
「ベテランの仲代達矢さん、若手の井手麻渡さんら人柄のよいキャストと優秀なスタッフに恵まれ、僕の能力を超えた映画を作ることができました」と松村さん。「茨城は映画の題材が豊富で、映画を通じて茨城のイメージアップにも貢献したい」 |
「諦めない心が生む奇跡を伝えたい!」
100年以上前、明治の終わりに日立鉱山の煙害(環境破壊)と闘った若者たちの姿を描いた新田次郎の小説「ある町の高い煙突」が映画化され、14日から水戸市とつくば市で先行上映される。日立市を舞台にした実話に基づき、この映画を監督した松村克弥さん(56)は「諦めないで目的に向かっていくと、こんな奇跡を生むんだということを伝えたい」と目を輝かす。松村さんはこれまで映画「天心」と「サクラ花—桜花最期の特攻—」を監督し、今作で茨城を舞台にした映画は3作目。なお、同作は22日から全国ロードショーされる。
松村さんが原作と同名の映画「ある町の高い煙突」を撮ろうと思ったのは、2015年の映画「サクラ花—桜花最期の特攻—」の試写会を見に来た人から、原作となった本を手渡されたことがきっかけだった。「この小説を映画化して」と頼まれた松村さんは一読し、「環境破壊がテーマで現代に通じる」と感じ、映画化を決意したという。
映画の舞台は1910年の日立市。鉱山から排出する煙で地元の山々は荒れ果て、農作物が枯れていく状況に日立鉱山も苦慮していた。村の代表、関根三郎は鉱山側の窓口、加屋淳平と協力して解決策を模索。その熱意がカリスマ経営者・木原吉之助と国を動かし、やがて155.7メートルと当時、世界一高い煙突建設へとつながっていく。CSR(企業の社会的責任)の原点ともいえる同映画は主に県内で撮影され、有志が立ち上げた「映画『ある町の高い煙突』を応援する会」は、個人や企業、自治体などから得た協賛金を制作費に充てた。
松村さんは成城大学在学中、映画が大好きで映画研究部に所属。卒業後は(株)毎日映画社に入社し、ドキュメンタリーなど100本近くの番組の構成・演出を担当した。しかし、会社勤務が苦手だった松村さんは91年、退職しフリーに。その後、テレビの2時間ドラマの制作や進行の仕事をしたが「自分には向いていない」と思っていたころ、松村さんの脚本を読んだ映画会社のプロデューサーが「映画にしましょう」と言ってくれ、監督も任されることに。92年、平凡な少年があるきっかけで狂気の世界に入っていくというデビュー作「オールナイトロング」が公開。「29歳で映画監督デビューができました」
3本までシリーズ作品が作られヒットした「オールナイトロング」の後は、「き・れ・い?」(04年)など、サスペンスやバイオレンス系の映画を多く手掛けた。13年、岡倉天心生誕150年、没後100年に映画「天心」を監督。続いて戦後70年という節目に「サクラ花—桜花最期の特攻—」を発表した。そして、“茨城3部作”の集大成として今年「ある町の高い煙突」を完成させた。
茨城を舞台に3作の映画を作ったのは、「母が行方(なめがた)市出身であるのと、『天心』以来、茨城県在住の城之内景子さん(73)がプロデューサーとして関わってくれたことが大きかった」と松村さん。「今回の映画は環境破壊との闘いがテーマなので、全国の人に見てもらいたい」と話す。 |
©2019 Kムーブ |
「ある町の高い煙突」 日本映画
監督・脚本:松村克弥、出演:井手麻渡、渡辺大、小島梨里杏、吉川晃司、仲代達矢ほか。130分。
14日(金)から、ユナイテッド・シネマ水戸(Tel.0570・783・396)、シネプレックスつくば(Tel.0570・783・122)で先行上映。22日(土)から、イオンシネマ守谷(Tel.0297・47・0101)、有楽町スバル座(Tel.03・3212・2826)ほかで全国上映。 |
|
| |
|