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織物は“天職” 指導で若返り ひたちなか市の大高和香さん |
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大高さん |
「裂き織り教室」など開催
ひたちなか市の大高和香(よりか)さん(89)は、同市のコミュニティー施設「くらし協同館なかよし」で、毎月第2と第4月曜日に「裂き織り」を教えている。「裂き織り」とは古布を裂いて織り直す手法で、バッグや衣類など多種多様な作品に再生できることが魅力だ。「教えることで、私自身も若返ります。私の元気の秘訣(ひけつ)ですね。生徒さんも学ぶことで意気が上がり、逆に教えられることも多いです。皆さんとともに長生きしたいですね」と大高さんは話す。
大高さんは1980年、県庁で行われた糸つむぎ(真綿の糸取り)の講習会に参加したことがきっかけで織物に目覚め、5年後には、市報に掲載されていた機織り講習会で機織りを学んだ。また、東京に通って編み物も学び、編み物教室で教えることができる資格(公益財団法人日本手芸普及協会)も取得した。
「細い糸を1本1本くぐらせ何日も何日もかかって織りあげる紬(つむぎ)。内職で覚えた真綿の糸取りだけでは物足りず紬を織るまでに発展しました。手紡ぎ糸を織ったものを肩に掛けたときは満足感でいっぱいになります」 次女の(短大の)卒業式に紬の着物に袴(はかま)をはかせたいと願った大高さん。「白生地を一生懸命織り、京染めにしてもらいました。娘に平織りの着物を着せることができて大変うれしかったです。この着物は孫も卒業式で着ました」
「くらし協同館なかよし」で行われている
「裂き織り教室」の様子 |
家族のために20年で3反織る
さらに大高さんは、紅花染めなどの草木染めを学んだ。そして、紬を家族のために役立てようと、結婚している長女夫妻のためにペアのブレザー、夫には背広を作った。「長女夫婦のブレザーの縦糸は白の生成り、横糸は紡いだ糸をザクロ染めで作り、夫の背広は、紅花染めなどの糸で織りました。完成したときのうれしさは、みんなに触れ回りたいような心地でした」。大高さんは、家族のために約20年かけて3反ほど織ったという。
ひたちなか市に「くらし協同館なかよし」がオープンした2005年には、大高さんは友人と同所で、織ったバッグや編み物などを販売した。同所では9年前から「なかよし趣味講座」で「裂き織り」を教えている。現在、生徒は60〜70代の7人。
生徒の水谷照子さん(69)は「学び始めて6年目になります。とても楽しいです。思い入れのあるもので古くなったものがよみがえり、再生できます。完成すると温かい気持ちになります。先生にこういうのを作りたいというと、見本などを持ってきてくださいます」。また、玉木和子さん(70)は「着る機会がなかった20代のころの浴衣を1センチぐらいずつ切り横糸に、白の綿糸を縦糸にして模様を再生しています」。裂き織り教室では、卓上織り機で織り、(布が)出来上がってからバッグや ショールなど、どのような作品を作るかを決めるという。
大高さんは「『裂き織り』は、たち目(はさみを入れた箇所)がほつれないようにするのが難しいです。接着芯を貼ったりジグザグミシンで布目を押さえたりします」
大高さんは現在、裂き織りのほか、ひたちなか市のコミュニティーセンターで編み物、国営ひたち海浜公園で染め織りをそれぞれ指導している。「『糸つむぎ講習会』に参加したのが縁で、織り、染め、手編みと次々に広がっていきました。手仕事をするのがとても楽しく、私の“天職”だと感じています」と、大高さんは目を輝かせる。 |
浴衣を再生。浴衣を1センチぐらいずつ切り横糸。綿糸を縦糸にして模様を再生 |
古布を裂いて横糸にし、作成したバッグ。
「縦糸は綿糸です」と大高さん |
「裂き織り教室」は毎月2日
毎月第2、第4月曜日午前10時〜正午。「くらし協同館なかよし」(ひたちなか市馬渡2525の498、JR勝田駅からバス)で。参加費1回1000円。問い合わせは同館 Tel.029・273・8388
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