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シャンソンカフェ「ルーブル」で中澤さん。中澤さんの実姉は、合唱指揮者兼声楽家の中澤敏子さん(86)。中澤さん姉妹はおととし、2人の年齢を合わせて「158歳のコンサート」、昨年は「160歳のコンサート」を開催。今年は「162歳のコンサート」を県内各地で行う予定だ |
NHK朝ドラ「ひよっこ」で方言指導
現在放送されているNHK連続テレビ小説「ひよっこ」。高度経済成長と東京五輪で日本中が沸いた時代、茨城県北西部の村で育ったヒロインが、東京に集団就職し、さまざまな困難をたくましく乗り越えて成長する姿を描く。その「ひよっこ」で茨城弁の指導をしているのが、水戸市でシャンソンカフェ「ルーブル」を営む女優の中澤敦子さん(75)だ。東京で茨城弁指導、水戸では月内にシャンソンコンサートを控え多忙な毎日だが、「素朴な茨城弁をお茶の間に伝えたい」とほほ笑む。
「『ひよっこ』の作者、脚本家の岡田惠和さんは、東京から特急で1時間半余りの所に、ふるさとの原風景があるので取り上げようと思われたそうです。岡田さんの脚本は人間的で心温まるもの。“ひよっこ”さんからどういう“にわとり”さんになるのか楽しみです」と、中澤さん本人もドラマに夢中という。中澤さんの方言指導法は、台本を茨城弁に書き直し録音。俳優たちは、その録音したテープを聞いて覚えるというもの。
「茨城弁はイントネーションが尻上がりか、平板かで特徴があります。ヒロインのみね子さんは、かわいらしい茨城弁、母・美代子さんは上品な茨城弁、祖父・茂さんは頑固で素朴な茨城弁など、キャラクターに合わせた茨城弁を指導しています」。ただ、中澤さんは方言指導だけではなく、本番の最後まで立ち会う。「水戸でシャンソンカフェ『ルーブル』を営みながらなので大変です」
中澤さんは1941年、水戸市で出生。幼少のころより母が好きだった日本舞踊を習い、歌を歌うことも大好きだった。高校では演劇部に所属し、日本大学芸術学部演劇学科に進んだ。大学を卒業後は劇団文化座に20年以上所属していた。現在はフリーとして活躍中で、最近では映画「オケ老人 ! 」(2016年)やテレビドラマ「ひぐらしのなく頃に」(同)に出演している。
さらに、得意の茨城弁を生かし、NHK放映の「おじいちゃんの贈り物」(87年)、「ねばる女」(04年)などでは、出演と同時に茨城弁の指導役も兼ねた。30年ほど前からは映画や舞台、テレビドラマなど、幅広い分野で茨城弁の指導にも当たっている。
また、中澤さんのもう一つの生きがいがシャンソンだ。新劇の俳優をしていたころ、新橋の歌声酒場「ルーブル」でアルバイトとして働き、世界各国の歌を歌っていたという。「ルーブル」で歌い始めたころシャンソンを習い始め、10年ほど前からはシャンソン歌手・岸本悟明に師事している。「女優だけれどもシャンソンを歌います。シャンソンはストーリーがあるので役者としては歌いやすいですね。どういう風に解釈して表現するかが大切です」と笑う。
バブル景気華やかなりしころ、新橋「ルーブル」のオーナーが亡くなったこともあり、中澤さんは「ルーブル」を引き継ぎ、約20年間、銀座で歌声酒場「ルーブル」を営んだ。その後、13年に銀座の店を畳んだが、同年すぐに水戸市に戻り3年前にシャンソンカフェ「ルーブル」をオープンさせた。シャンソン文化の灯を守り続けると中澤さん。「シャンソンも役者も表現するのは同じです。今後は舞台をはじめ演ずることをやっていきたいですね。人との出会いと好奇心で今の私があると思います」
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シャンソンカフェ「ルーブル」(水戸市泉町1の2の26 作田ビル2階東店舗、JR水戸駅徒歩17分)は、中澤さんが多忙のため、9月中旬までは不定期営業。9月中旬以降は通常営業に。午後5時開店。日曜、月曜休業。 |
♪ 水戸のパリ祭 アフタヌーンコンサート
30日(日)午後2時開演、ホテル テラス ザ ガーデン水戸(JR水戸駅すぐ)で。
圧倒的な歌唱力とピアノ演奏に定評のある岸本悟明と、女優としても活躍している中澤さんによる、アフタヌーンコンサート。
予定曲:「風に立つライオン」「アコーディオン弾き」「ミロール」ほか。
料金8000円(軽食・ワンドリンク付き)。問い合わせは中澤 Tel.090・7243・7492 |
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