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新荘市民センターで、「常陸てまり」の作り方を教える二川さん(左)。「仲間づくりも楽しいですよ」と話す |
3月、仲間たちと作品展
梅、桜、菊など季節の花々や幾何学模様…。伝統工芸品「手まり」の作り方を指導する水戸市の二川(ふたかわ)良子さん(73)と生徒らが3月、「二川良子と仲間達」の「第48回常陸てまり作品展」を同市の偕楽園公園センターで開催する。伝統を尊びながらも現代的なセンスを取り入れた、色鮮やかな作品の数々。二川さんは「私たちは先人が残した『手まり』を次世代に伝えていこうとする会です。ぜひ見に来てください」と呼び掛けている。
丸くて角が立たない—。縁起物として古くから親しまれてきた「手まり」を、二川さんは50年以上前から作り続ける。「母が『芸はいつの日か身を助けるので覚えておきなさい。手まりで仲間をつくりなさい。友達は金では買えないよ』と言って作り方を教えてくれました」
二川さんは子育てが一段落した30代後半から水戸市内の公民館などで指導を始め、1998年には市の生涯学習事業「みと好文カレッジ」の「あなたも師・達人制度」に登録された。「師・達人制度」は豊富な知識や優れた技術を持つ市民の力を活用する“人材バンク”の制度。現在は、市内の新荘市民センターなどで50代から80代までの約40人を指導している。
「私たちが作る『常陸てまり』には(花の中心部である)花芯の意匠を入れます」。さらに二川さんは、江戸の伝統工芸「つまみ細工」をアレンジした“新型”も考案し、「花手まり」と名付けている。「これらは販売せず、プレゼントやお礼として差し上げています」
二川さんはおととし9月、水戸ユネスコ協会を通し、オーストラリアのモリアルタロータリークラブに「常陸てまり」をプレゼントした。その「常陸てまり」は南オーストラリア州立美術館に昨年3月、日本の伝統工芸品として飾られた。昨年10月、二川さんは水戸市内で催された「オーストラリアモリアルタロータリークラブと水戸ユネスコ協会親善交流会」に招待され、国境を超えた交流を深めた。「オーストラリアの人が『常陸てまりを作っている人にぜひ会いたい』ということで、お会いしました。ハグをされ『ありがとう』と声を掛けられました。夢のような体験でした」
2016年11月〜12月、水戸市の常陽銀行末広町支店で開催された新荘市民センター「手まりクラブ」の展覧会 |
伝統尊重、現代的センスも
「常陸てまり」の制作には、繊細な作業が求められる。「ちょっとしたことで模様がいびつになってしまう。それだけに、イメージ通りに出来上がった時の喜びは大きいですね」と二川さんはほほ笑む。新荘市民センターで学ぶ土生(はぶ)公子さん(83)は、「“70の手習い”で始めました。自分で色を考えながら作っています。知り合いや友達に差し上げ喜んでいただいています。やり始めると楽しいです。2時間と決めていても、3時間、4時間とやってしまいます」。同じ教室の南利香さん(53)は、「花や絵を見て、手まりのデザインの参考にしています。色の組み合わせを変えると、柄も違って見えて楽しいですよ」と笑みを見せる。
二川さんと生徒らでつくる「二川良子と仲間達」は、99年から偕楽園公園センターや銀行の支店のロビーなどで、47回もの展覧会を開催してきた。「花の種がこぼれて、新しい年も花を咲かせるように…、『常陸てまり』の花芯には、長く続いてほしいという祈りを込めています。ことしも『常陸てまり』の魅力を多くの人に伝え続けたいですね」と二川さんは話している。 |
◆第48回常陸てまり作品展
3月14日(火)〜19日(日)、偕楽園公園センターで。1000点以上の「常陸てまり」が展示される。午前9時〜午後4時半。
観覧無料。問い合わせは二川 Tel.029・229・7213 |
3月11日(土)午後6時〜9時、偕楽園で催される「夜・梅・祭2017」でも、好文亭に「常陸てまり」が展示される。好文亭の入館は午後8時まで。
入館料200円。問い合わせは水戸観光協会 Tel.029・224・0441 |
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