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  茨城版 平成28年11月号  
授業と高座、二足のわらじ  社会人落語家・斎須博(二松亭ちゃん平)さん

今年4月に行われた「第七回げいぶん寄席」(常陽藝文センター)の高座で笑いをとる斎須さん。「自分のやりたいことを継続して行えば、仲間もできて気付くこともあります。落語が好きだなあという意欲を持続し、もっともっと人前で話すことが好きになりたいですね」
 「ばかばかしいお話を一席!」—。笑いと人情があふれる落語は心から人を笑わせる。二松亭ちゃん平(にしょうていちゃんぺい)こと水戸市の斎須博さん(49)は、茨城キリスト教学園高等学校で教員をする傍ら、社会人落語家として活躍している。ひとたび高座に上がれば、お客さんの反応を見ながら心を寄り添わせて、一緒に笑いの雰囲気を作るという斎須さん。「何十人の人が私を見て笑ってくれている。そうそう体験できることではありません。幕が下りるたびに、お客さん一人一人に心からありがとうと思います」

12月に「げいぶん寄席」出演
 斎須さんは、二松學舎大学OBで落語研究会に所属していた。「落研は上下関係が厳しかったですが、楽しみながらしっかりした活動をしていました」と振り返る。

 1989年に大学を卒業後は、茨城キリスト教学園に就職。ただし落語はやめず、国語の教員をする傍ら、約15年間にわたりボランティアとして高齢者施設などで落語を演じていたという。「大学の落研が楽しかったことと、学校でもJRC(青少年赤十字)など学生らのボランティア活動の顧問をしていたので、高齢者の施設と縁を持ちたいと思ったからです」

 転機となったのは2007年。水戸市の市民センターのイベントで、出演予定だった落語家が急きょキャンセル。ピンチヒッターとして「みと好文カレッジ」の「あなたも師・達人制度」に“出前落語”で登録していた斎須さんが出演することに。これをきっかけに教師と落語家の二足のわらじが本格化。高座に上がる機会が増えていき、現在では年約60回の高座をこなす。

 10年、大阪府池田市で開催された第2回社会人落語日本一決定戦で池田市長賞、翌11年の第3回同決定戦で創作落語「学校へ行こう」を披露し見事優勝。さらに15年、第5回落語国際大会in千葉では外国人とも対決し、創作落語「みんなの運動会」でも優勝を果たす。

 「学校へ行こう」は、不登校の生徒を何とかして学校に来させようと知恵を絞るクラスメートらの思いやりの話。「みんなの運動会」は、全生徒6人で廃校の危機に瀕(ひん)した小学校が舞台で、地域の人や教員が盛り上げて運動会を開催する話。特に「学校へ行こう」は、インターネット動画サイト「You Tube」にもアップされ、幅広い人たちが視聴。今や小学生らが演じるほどの人気作に。1年に1本は創作落語を作るという斎須さん。「学校で演じることが多いので学校を舞台にした話は多いです。先生や生徒に喜んでもらえるからです」。ちなみに、水戸市の自宅から日立市の茨城キリスト教学園までマイカーで通勤する往復2時間が練習や落語の脚本を考える時間だという。

 斎須さんの名刺の表面は茨城キリスト教学園入試広報部長・教諭として、裏面は社会人落語家としてのリバーシブル(!?)仕様だ。「表裏をセットにした名刺を作っているのは、私なりの覚悟があります。同時に茨城キリスト教学園に興味を持っていただければうれしいです」

 また、このごろは卒業生や保護者が斎須さんを招いて寄席を開いてくれるという。「卒業生や保護者に会えるのはいいですね。縁を大事にしたいです。高齢者の施設にも行きたいのですが時間がとれずなかなか足を運べません」と苦笑い。

 斎須さんの落語はユニーク。セリフの意味を観客が分からないと感じたら、話を戻し説明するなど臨機応変に対応する。「授業も生徒の反応を見て教えて、授業のやり方を変えています。高座と授業は似ていますね。落語ってつまらないなあと思われたら責任重大です。私がきっかけでプロの話を聴いてもらって落語ファンのすそ野が広がれば、それが一番うれしいですね!」

「第九回げいぶん寄席」
 12月17日(土)午後2時開演、常陽藝文センター(JR水戸駅徒歩8分)7階・常陽藝文ホールで。
 社会人落語の会。出演は二松亭ちゃん平ほか5人。入場無料。問い合わせは斎須 Tel.090・4968・3536

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