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昨年の茨城県合唱祭。指揮は田中さん |
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9月11日に日立シビックセンターで「日立市民混声合唱団」の第34回定期演奏会が行われる。3部構成のうち注目は、第3ステージで披露する鈴木憲夫作曲の混声合唱曲「民話」だ。「民話の中では人も動物もみな素朴で温かく、喜びや悲しみ、笑い、知恵があふれています。前回に引き続き、第3ステージでは指揮を鈴木先生にお願いしています。ぜひ聴きにいらしてください」と同合唱団の指揮者・田中和子さん(70)は話す。
「合唱団の温かい雰囲気を大切にして続けていきたいです」と話す日立市民混声合唱団指揮者・田中和子さん。田中さんは、かしま児童館のファミリーコーラス「あすなろ」でも指揮を務めている |
日立市民混声合唱団は、34年前に「日立市民でヘンデルのメサイアのハレルヤコーラスを一緒に歌おう」と発足した。現在は30代から80代の団員55人が所属し、毎年、茨城県合唱祭、日立市民音楽祭などに出場している。田中さんは、創立とともに入団。第12回定期演奏会から第2ステージの指揮を務めるようになり、2016年は、第1と第2ステージの指揮も任されることに。幼いころから歌が好きで、“合唱漬け”の人生だと笑う田中さん。
「合唱はもはや生活の一部です。女声合唱も美しいですが、混声合唱は厚みがあり、ハーモニーが幅広く心地よいです」と話す。
ことしの定期演奏会では、第1ステージでロシア民謡を、第2ステージは、ポピュラー、フォークなどから選曲。ここでは団員の並び方の変化やパフォーマンス、衣装の早変わりで魅せる。団員がステージから降りてきて来場者とともに歌い、楽しいステージを盛り上げる。「このように作りあげることで第1と第3ステージが生きてきます」と田中さん。
第3ステージでは、作曲家・鈴木憲夫の合唱曲に挑戦する。鈴木氏は、合唱曲、吹奏楽、管弦楽など多くの作品を発表しているが、中でも合唱曲は幅広い支持を得ている。宮沢賢治の詩「永訣(えいけつ)の朝」に曲を付けた混声合唱曲は特に有名だ。
これまでも同合唱団では鈴木氏が作曲した金子みすゞの組曲などを歌ってきた。その縁で昨年、鈴木氏に指揮を依頼、快く引き受けてくれたという。
「作曲者である鈴木先生が指揮してくださると、詩の意味や表現が分かりやすく、初めは難しいと思ってもできてしまいます。先生はとても温かい方で、生き物全てに対する優しいまなざしをお持ちです。それを歌で表現しようとみんな頑張っています」
数ある曲の中から今回選んだのは「民話」だ。5曲あり、そのうちの「若返りの水」は民話をそのまま詩にしたものだが、「動物たち」「鬼とおじいさん」などは民話を元に鈴木氏が作詞した。輪の中に入って鬼と踊るおじいさんや、動物も人間も一緒に暮らしている様子など、ユーモラスな世界観が漂う。
「『民話』の中では、動物も人間も鬼も友達です。人間が特別な存在ではなく、みんな同じなのです。鈴木先生は、日本人の素朴で温かな『心』を大切にしています。その『心』を歌いたい。今もなお私たちの中で息付いている民話の心を、少しでも感じていただけたらうれしいです」 |
♪第34回日立市民混声 合唱団定期演奏会
9月11日(日)、午後2時半開演、日立シビックセンター音楽ホール(JR日立駅徒歩3分)で。
第1ステージ:ロシア民謡、第2ステージ:日本のポップスではNHK「鶴瓶の家族に乾杯」オープニング曲でもあるさだまさし「Birthday」など、第3ステージ:鈴木憲夫「民話」。
1000円(中学生以下無料)。問い合わせは Tel.0294・22・6481 |
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