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花樹の会も一部で整備・育成に加わった桜並木の中を進む日立風流物(過去の日立さくらまつりの様子) |
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桜は日立市の花。4月1日〜17日まで「日立さくらまつり」が開催され、メーン通りである平和通りや、かみね公園などが桜色に染まり訪れる人を魅了する。これらの桜の保護育成を行っているのが、ボランティアグループ「花樹の会」だ。「美しい桜が好きです。日立が100年後も桜の美しい街であることを願っています。一緒に活動してみませんか」と会長の島崎伸弥さん(79)は呼び掛ける。
茨城県日立市の「花樹の会」
日立の桜のルーツは、明治時代末期にさかのぼる。日立鉱山の煙害に強い樹木としてオオシマザクラが最も多く植えられ、緑を回復していった。その後、オオシマザクラにソメイヨシノを接ぎ木したものを社宅や地域に植え、市民が楽しめる街にした。中には、花見の名所となった社宅もあったという。それから現在に至るまで、桜は日立のシンボルとなっている。
花樹の会メンバー。左から今井建夫さん、山川敏夫さん、島崎伸弥さん |
ところが、1991年に助川山で山火事が発生し、多数のオオシマザクラを焼失。これを受け市では緑を取り戻そうとの機運が盛り上がり、93年に発足したのが「花樹の会」だ。同会は、土地を整地しながら、ヤマザクラ約2600本を会員の資金で植樹し助川山を再生。現在では、市内に植樹された桜の保護活動に従事している。さらに、同会会員の長島正吉さん(79)が発見した日立紅寒桜(べにかんざくら)の育成にも力を入れている。
日立紅寒桜は、1月の終わりごろから3月にかけて咲き続ける珍しい種類で、日高交流センターや多賀市民プラザ、かみね動物園頂上駐車場などに植樹されている。「日立紅寒桜は、最初発見された木は育ちませんでしたが、二世を育てることができました」と会員の今井建夫さん(76)は胸を張る。
また、老朽化した平和通りの桜を、幼木に植え替える事業にも、市民や企業などとともに参加している。「次世代にも日立の桜を受け継いでいってもらえれば」と島崎さんは願う。
島崎さんは、「鞍掛山さくら100年委員会」の委員長も兼任している。鞍掛山の約500本のオオシマザクラを整備し、100年後も桜がある山づくりを目指している。「鞍掛山を桜の名所にして市民の憩いの山にしようと張り切っています」
会員のほとんどは70代で発足当初からのメンバーだ。現在、入会者を募集している。「特別な知識はいりません。一緒に額に汗して桜を植えましょう」と島崎さん。
また、来年の4月には、「全国さくらシンポジウム」が日立で開催される予定だ。
会員の山川敏夫さん(81)は、「水戸の梅、日立の桜と言われるように、日立紅寒桜の園を作るなどして、日立紅寒桜を観光の目玉にしたいですね。角館や弘前のように市役所に桜専門の担当者を置いてほしいです」と期待に胸を膨らませる。
「花樹の会」の問い合わせは今井 Tel.090・8005・6635 |
日立さくらまつり
4月1日(金)〜17日(日)、平和通り会場(JR日立駅徒歩1分)ほかで。
平和通り会場では、8日(金)に夜間歩行者天国、9日(土)、10日(日)には日立風流物(もの)公開(操り人形を乗せたからくり仕掛けの大きな山車=ユネスコ無形文化遺産)、ひたち舞祭などが催される。
問い合わせは日立市観光物産協会 Tel.0294・22・3111 |
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