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心ほぐす“柔らか仏教論” 筑西市の「説法カフェ」主宰・相馬彰さん |
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7月に行われた説法カフェの様子。相馬さん(中央)は毎回ラフな格好で参加。テーマはお盆。「由来をたどると実はお釈迦(しゃか)様の時代にはなかった」として仏教以外の宗教や暦学、歴史の話が続いたかと思うと、さらに話は飛び「寺院の経営マーケティング」などお寺ではとても聞けない話がぽんぽん飛び出した |
頑張りすぎる人に効く
ゆるりとした雰囲気の中、お茶やお菓子をつまみながらお坊さんの説法を聞く—。従来の厳かなイメージとはかけ離れた風景だが、ここ筑西市の地域開放型ふれあいサロン「たまり場・たろう」で開かれる月1回の説法には高齢者を中心に多くの常連が訪れる。「説法カフェ」を主宰する相馬彰さん(46)は、「現代に即した形での柔らかい説法を試みています。介護などで頑張り過ぎている人に肩の力を抜いて聞いてほしい」と語る。20日には水戸市で行われるボランティア・市民活動フェスティバルでこの「説法カフェ」を再現したワークショップを開催するという。
相馬さんは筑西市にある浄土真宗本願寺派・光徳寺の副住職。生まれながらにして僧侶としての生活を送ってきた。ただし、「寺は兄が継いでおり、自分は手伝い程度。主にCG映像作家として生活の糧を得ています」と意外な経歴の持ち主。実は3DCGの世界では名の知られたベテランクリエーターだ(http://vaca.to/)。
だが、兄が所用で寺に出てこられない場合は相馬さんが説法や経を上げるという。ちなみに説法カフェでは、「特定宗派の色は出さず、仏教の根本にある全ての宗派に共通するようなお話を心掛けています」とニッコリ。
相馬彰さん |
説法カフェの話題は仏教説話のほか時節の話、時事ネタなどさまざまな雑談で盛り上がる。もちろん芯にあるのは仏教説話であるものの驚くほどの博学知識や笑いを盛り込み、一般人にも分かる等身大の話をしてくれる。
話の途中での質問やつっこみも自由。また、「お葬式でよくやる所作は何のため?」「戒名は長い方がいいの?」との質問にも納得するまで解説する。
「毎回だいたい好評をいただいていますが、仏教の専門用語を使うようなお話は不評ですね。柔らかい話し方を意識しています」
「たまり場・たろう」はもともと在宅介護に悪戦苦闘する家族の情報共有とリフレッシュの場として小松﨑光正さん(68)、登美子さん(68)夫妻が持ち家を拠点にボランティアで運営。さらに夫妻の人脈で集まった多くのボランティアと協力、それぞれの専門分野を生かし「たまり場楽校(がっこう)」を開講した。「説法カフェ」もその一つだ。
相馬さんは高校時代、小松﨑夫妻の経営する喫茶店の常連だった縁で「たまり場・たろう」を手伝ってきたが、得度を受け僧侶としての資格を得たことをきっかけに夫妻から勧められたという。「生臭坊主による敷居の低い説法でも仏教に親しんでもらえるなら、と思い快諾しました」と当時を振り返る。
そして自らの説法について、「頑張り過ぎている人には必ず効くと思います。『愛』も『幸福』もどちらかというとあんまり重要じゃなくて、目指すべきは『楽』である…とか言われると、ちょっとその続き=仏教の話を聞いてみたくなりませんか?」と自らの“柔らか仏教論”を優しいまなざしで語った。
説法カフェは毎月第2金曜の午後2時〜4時、「たまり場・たろう」(JR下館駅徒歩5分)で開催(8月は休会)。参加費は1回200円。問い合わせは「たまり場・たろう」小松﨑 Tel.090・1797・3045 |
◆「たまり場楽校 in MITO」僧食系男子“アキラ”の説法カフェ
20日(木)午後1時半〜3時半、常磐大学G棟202(JR水戸駅からバス)で。
「ボランティア・市民活動フェスティバル2015」の分科会の1つとして開催。「説法カフェ」など3つのプログラムで「たまり場」の運営方法を楽しく学ぶ。入場無料。問い合わせは茨城県社会福祉協議会 Tel.029・241・1133 |
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