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  茨城版 平成27年7月号  
母娘2人が育てる大粒の実  牛久市の本多恭子さん(娘)と中込厚子さん(母)

収穫した大粒のブルーベリーの実。耕地や木の養分を全て実に集めるため、草取りや剪定にはこだわるという本多恭子さん(写真)だが、「細かな枝葉の剪定は、寒い冬季に一本一本の木を手作業で行うので、気が遠くなります」と苦笑い
観光農園「女化ブルーベリーの森」
 牛久市の「女化(おなばけ)ブルーベリーの森」は知る人ぞ知る人気の観光農園。入り口にある小さな森をくぐると、市販品の倍はあろうかという実をたわわに付けた14種800株のブルーベリーの木が畝伝いに並ぶ。無農薬のその実を口に運べば上品でしっかりとした甘酸っぱさが広がり、初めて訪れた人は必ず驚くという。「亡くなった父がセカンドライフとして始め、多くの出合いに支えられながら、家族が一緒になって一本一本の木へたっぷりの愛情を注いできました。その愛情にブルーベリーが応えてくれたのだと思います」と農園を経営する本多恭子さん(39)は語る。普段は中込厚子さん(68)と母娘2人だけで草取りから剪定(せんてい)までをこなす。ブルーベリー狩りは8月下旬まで。

 ブルーベリーの森オープンのきっかけは7年前の経験。家族で近場のブルーベリー農園へ出掛けた折り、完熟したブルーベリーの実の大きさ、おいしさに全員が魅了された。

 共に土いじりが好きな厚子さんと夫の亜旗男(あきお)さんが、さっそくセカンドライフの柱としてブルーベリー農園を始めたいと語ると、同居先である娘の恭子さん夫婦も賛成、協力を約束した。

 ただし農園といっても趣味の延長。そこそこの大きさの耕地を探し始めたのだが、ここで運命の出合いが訪れる。「探し始めてすぐでした。今のこの場所がブルーベリー農園として売り出されていたのです」と恭子さん。


中込厚子さん
 森を含めた敷地は約1万平方メートル。農園には植えられたばかりの苗木が並んでいた。元の持ち主もブルーベリー農園を始めようとしたものの病気で断念したという。ただし約40アール(4000平方メートル)の農地は広く、またブルーベリーは植え初めから2〜3年は実を付けない。趣味の範囲を大きく超えた農園経営となるが、家族誰もがためらうことなく飛び込んでいった。

 頼りは本やインターネット。不安と闘いながら家族全員で農作業を実践していった。

 だが亜旗男さんには既に病魔が忍び寄っていた。「がんでした。ただ毎日楽しそうに農園へ出掛ける父に告知はできませんでした」と恭子さんは当時の葛藤を振り返る。亜旗男さんは死の直前まで農園の世話を続け、ようやくブルーベリーの木に実が付いたころ静かにこの世を去った。享年66歳。


ブルーベリーを摘みに1日に100人近くの集客数がある日も。ネットで見て森の雰囲気に引かれてきたという来園客もいた。客層は子連れの若夫婦や祖父母が多いという。「お客さんとお話しするのがとても楽しい」と厚子さん
 亜旗男さんの死を乗り越えブルーベリーの森は2011年に開園。実がなる6月〜8月に摘み取りに来る来園客を迎えるだけでなく、牛久市の青果市場にも出荷している。

 ただし観光農園としては年に3カ月の開園でも、ブルーベリーの世話は年中無休だ。サラリーマンである恭子さんの夫が休日限定で手伝ってくれるが、通常は厚子さん、恭子さん母娘2人が付きっきりで世話を焼く。剪定、施肥、草取り、鳥よけネット設置などいずれも結構な力仕事だ。

 だが費やした苦労と愛情が大粒のブルーベリーに結実。なんとことし、牛久市のふるさと納税の特典の一つとして同園のブルーベリーが採用されている。

 また恭子さんは昨年から定期的にマルシェ(市場)を開き始めた。今月25日にも開催する。「将来はさまざまなイベントを開き、収穫時以外にもこの森を年中人が集まる場所にしたいです」と夢を語る。

 女化ブルーベリーの森での摘み取りは8月下旬まで。水曜定休。開園時間午前9時〜午後5時。入園料無料(食べ放題1000円、持ち帰り100グラム200円〜)。

 問い合わせは Tel.0297・65・6553

◆◇◆マルシェ「森ノ音」◆◇◆
 25日(土)午前10時〜午後3時、女化ブルーベリーの森(JR佐貫駅からタクシー)で。
 ブルーベリー園の小さくかわいい森の広場で開かれるマルシェ。革小物や草木染めなどのハンドメード品やフード・ドリンクの店舗も出店。
 一部店舗ではワークショップを開催し、来訪者との交流を図る。もちろんブルーベリーの摘み取りも楽しめる。
 問い合わせは本多 Tel.080・3512・6304

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