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ハーモニカで仲間づくり 「かしま灘楽習塾」主宰・高柳恵三さん(鹿嶋市) |
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「かしま灘楽習塾」での練習風景 |
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今、ハーモニカが中高年の間で静かなブームだという。手軽に持ち運べる小さな楽器だが、その哀愁をおびた独特の音色に、どことなく日本的な懐かしさを感じるという人が多いようだ。このハーモニカをもっと地域に普及させ多くの仲間を作りたいとの思いから、9年前に発足した鹿嶋市の生涯学習団体「かしま灘楽習塾」でハーモニカ教室を開いているのが鹿嶋市宮中の高柳恵三さん(74)だ。
高齢者の生きがいにも
「ちょうど私が60歳で仕事が定年になった頃に、母が倒れ介護施設に入ったんです。その時につたないながらも聴かせたハーモニカを母がとても喜んでくれて、人を慰められるいい楽器だなあと思ったのがきっかけで、水戸市にある『間中教室』に習いに行き始めました」と、ハーモニカとの出合いを話す高柳さん。
現在、高柳さんの教室「かしま灘楽習塾」での練習は毎回1時間半。取材をした日は童謡「赤い靴」の合奏から始まった。
「ミレドシのシーは3拍でドシーと伸ばします。第2パートは高いミレシーで赤い靴の女の子の感情を込めて〜」と、細かく指導する高柳さん、声を聴く生徒の皆さんは真剣そのもの。この日は、「上を向いて歩こう」「星影のワルツ」「ふるさと」などを次々に演奏。教室はにぎやかで、和気あいあいとした雰囲気だ。
「合奏は、バスとコードの伴奏とメロディーの第1と第2という4つのパートを合わせて行うのですが、練習は月に2回なので1曲が完成するまでに半年はかかります。レベルも人柄も性別もさまざまな仲間ですから、一致団結して心がそろわないとうまくいかないんです」と、常に生徒が一体感を持つよう心がけている高柳さん。
ハーモニカの楽譜は五線譜が苦手な人でも読めるよう、例えば数字の1から7がドレミファソラシドで、数字に点があればオクターブ上、または下というように分かりやすくできている。そのため、楽器になじみのない人でも演奏しやすい。
教室の生徒は現在30人で7割が60代から80代の女性。生徒でリーダー兼世話係という内田敏子さん(62)は、「何か楽器をやりたいと思い気軽にできそうなハーモニカを選んで3年です。楽しく吹いているうちにどんどん、ハーモニカの魅力にはまっていきました。今はこのコードハーモニカを担当しています」と普通の何倍もある大きなハーモニカを見せてくれた。
最年長の額賀あい子さん(80)も、「今の気持ちを短歌に込めて投稿した事があります。『ドキドキも老いを忘れる薬だと、舞台に立ちてハーモニカ』。先生が優しいのでこれからもずっと続けていきますよ」と、元気いっぱい。
「この教室でハーモニカを覚えた人が、ソロはもとより、サークルを作って楽しんだり、オカリナやフルートの仲間とミニコンサートを開いたりと、おのおの独自で活動の輪を広げているのはとてもうれしいことですね」と話す高柳さんも以前から「ららモニカ」というハーモニカサークルを作り、敬老会や介護施設の慰問などのボランティア活動を積極的に行っている。
東日本大震災では鹿嶋地域もだいぶ被災したが、「震災以降、いっそう人と人とのつながりが大切だと感じるようになったからこそ、単にハーモニカの技術を教えるだけでなく、この教室が高齢者の生きがい・仲間作り、そしてアクティブシニア養成の場になるよう、これからも頑張りたいですね」と高柳さんは抱負を語る。
練習日は毎月第2、4水曜の午前10時と午後1時半(初級コース)。
教室の見学、入会はいつでも可。問い合わせはかしま灘楽習塾・事務局 Tel.0299・85・2601 |
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