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白鳥を見守り30年 潮来市北浦湖岸・「白鳥を守る会」 |
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餌をまく広引さん |
北国から越冬のため日本に飛来する白鳥の姿は日本のあちこちで見かける冬の風物詩だ。気候が温暖な茨城県にも白鳥の飛来地が数多くあり、潮来市の水原地先北浦湖岸もその中の一つである。北浦湖岸には1981年12月に初めて白鳥が6羽飛来し、翌82年にも幼鳥を含め11羽の白鳥が飛来したため、地元の有志により「白鳥を守る会」(小沼由男会長)が結成された。それから30年以上にわたり白鳥を見守り続けてきた同会の事務局・広引芳夫さん(80)に話を聞いた。
広引芳夫さん |
給餌・保護に取り組む
同会では結成と同時に当時の茨城大学北浦臨湖研究所(現・広域水圏環境科学教育研究センター)の指導の下、白鳥の給餌・観察・保護活動を始めた。その後、白鳥の数は年によって24羽から67羽と波があるものの毎年飛来する北浦湖岸の葦の茂る一体を「白鳥の里」と呼んでいる。
「私は北浦の汚れた水をなんとかしたいとの思いからこの会に入りました。徐々に農業排水も整備され水もきれいになり、白鳥を始め多くの水鳥が集まるような良い環境になったことは、ほんとによかったと思っています」と、入会当時を思い出す広引さん。
同会では、羽数調査をはじめ周辺の除草や看板の設置などの活動を積極的にするほか、毎年東北で白鳥の保護活動を行っているグループを訪ね、餌付けの方法などの情報交換をし、交流を深めている。
注意書きの立て看板 |
北浦湖岸で見られる白鳥は、コブハクチョウ、オオハクチョウ、コハクチョウなどだが、ほかにもユリカモメやアオサギ、ゴイサギ、バンなどその年によってさまざまな水鳥も飛来するため、多くの種類を間近で見ることができる。白鳥は、子育て中以外はおとなしい鳥で、特にコブハクチョウは北海道の公園や動物園で飼育されていたものが野生化したものでとても人懐っこいという。
昨年11月、東日本大震災で崩れた湖岸の堤防道路斜面の復旧工事がやっと終了し、再び、花壇の整備や周辺の清掃など環境整備にも力を入れられるようになった。また、普段は会員が餌やりを行っているが、休日には協力金として1袋100円で見学者に餌を販売し、活動の資金に充てている。銚子市明神町から家族で毎年2〜3回は必ず古米を持ってやってくるという加瀬輝代さん(77)は「白鳥が大好きなんです。近くにかんぽの宿があるので、泊まりがけで来て1回に15キロほどの古米を持ってきます」と、この時期を楽しみにしていると話す。
「ひと冬の間に古米やパンくずなど200〜300キロ消費するため、餌集めは大変です。会員に農家が多いのでなんとかなっていますが、このように協力してくれる人がいると、とても助かります」と話す広引さん。
毎年2、3回来るという加瀬さん家族 |
「冬季の野鳥観察地として毎年多くの野鳥研究家や愛好家・見学者が訪れるようになり、潮来市の観光地として有名になったことはとてもうれしいです。58人の会員に70代以上が多いということもあって朝6時半と夕方5時の餌やりは大変ですが、声をかけると寄ってくる白鳥はとてもかわいいものですね」と、広引さんの顔もほころぶ。
昨年11月にやって来た白鳥は、今年も3月くらいまでのんびり泳いだり餌を食べたりしながら、訪れる人を楽しませてくれる。
アクセス=東関東自動車潮来インターより15分
問い合わせは広引 Tel.0299・67・5866 |
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