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古代ハスの保護運動実る 行方市の「羽生地区資源を守る会」 |
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守る会のメンバー
(左から山中さん、井野場さん、羽生さん、小澤さん) |
土浦・霞ケ浦周辺はレンコンの生産量が日本一。低湿地、高水温、肥えた土壌など栽培に適した条件を備えているからだという。霞ケ浦湖畔に位置する行方市羽生地区にも昔から地元の人が「ハス池」と呼ぶ古代ハスの群生地があった。しかし、時代とともに数は激減。そこで、2006年からこの古代ハスを復活させようと「羽生地区資源を守る会」が設立。活動が実り、ハスの数は格段に増えている。花の見頃は8月上旬まで。約3000平方メートルの水面いっぱいに広がった葉の間から大きなピンク色の花が顔を出し、それは見事な風景だ。
2006年からハス池再生に全力
昔から貯水池として使用されていた「ハス池」。しかし、昭和の後半に入ったころにはハスは池の一部にわずかに残る程度であった。
「昭和60年代に池の改修工事を行ったとき、機械を使った作業で土の中に深く眠っていた根が掘り起こされたらしく、一時花がたくさん増えた事がありました」と、「羽生地区資源を守る会」の山中日出夫さん(73)。
古代ハスの花 |
ところが、「当時マスコミにも取り上げられ観光客が多く来るようになったと思ったら、その中の心ない人が花や茎をみんな持って行ってしまったものだから、いよいよ花は消滅寸前でしたよ」と、古代ハスの存続危機は続いた。
そのまましばらく放置されていたこの池の古代ハスを再生させようと、06年に羽生地区約200世帯総出で「羽生地区資源を守る会」を立ち上げた。
「まず池の水を全部抜くことから始めたけど、これは地面を乾かすという大がかりな作業だったね。それから草やアシなどをきれいに抜き取り、一部にだけ残っていたハスを抜いて、池全体に移植したんです」と羽生祐胤さん(73)は振り返る。「地中40センチ程の所に埋まっている根は長さが50センチもあるからスコップで掘り返すのも大変だったね。全部植え替えるのに1年かかりました」
08年には大賀ハス(大賀一郎博士が発見した古代ハス)の栽培に実績のある千葉県の東京大学大学院農学生命科学研究所の付属緑地植物実験所で研修するなどの努力が実り、2年かけて古代ハスは蘇った。
「夏の間花を楽しんだ後、普通レンコンとして食用になるのだけど、この池のハスはあまり手を掛けないため食べるのはちょっと無理かな」と皆さん。ハス池が口コミなどで評判になりうれしい半面、また以前のような心配も出てきた。
「開花の時期になると花の盗難やバス釣りをする人の釣り針でハスの茎を傷むなどの被害が絶えないんです」
「我々の会は池の周りの草を抜いたり、この池は深いので見学者に注意を呼び掛けたりしながら、やっと名実ともに『ハス池』となったこの池を、区長の山口不岐さんを中心に大事に見守っていこうと思っています」と、山中さんをはじめ、羽生さん、同じく同会の井野場誠さん(76)、小澤敏男さん(71)はこれからも地区のみんなと一緒に頑張っていくつもりだ。
問い合わせは山中さん TEL.0299・57・0625(午後5時〜)
住所:行方市羽生 国道355号羽生郵便局を右に曲がる |
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