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小美玉市に「ひょうたん美術館」 館長の大和田芳子さん |
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築100年以上の蔵にヒョウタンが納められている |
1万個収集、貴重な品も
「瓢箪は三つそろえば三拍(瓢)子。六つそろえば六病(瓢)息災」ということわざがあるように、ヒョウタンは昔から病気や災いをその中に吸い取り、封じ込めてくれる縁起物として知られている。これを日本中から集めた「ひょうたん美術館」が小美玉市にある。小美玉市小岩戸の初代館長大和田三五郎さんが1997年に開館し、2008年に三五郎さんの死去後は、妻の芳子さん(87)が2代目館長に就任。現在も多くの人々を楽しませている。
右から館長の芳子さん、息子の裕人さんと妻の靖子さん |
三五郎さんは、青年の頃、一人の老人からヒョウタンとともに送られた格言がとても胸に響き、それ以来古い時代のヒョウタンを集め始めたという。その格言とは、「腹に実のない瓢箪さえも胸にくくりはつけてある」と、「ぶらぶらと暮らすようでも瓢箪は胸のあたりにしめくくりあり」で、この二つの言葉を「ここ一番という時には、心をしっかり引き締めること」と三五郎さんは理解し、人生の糧としてきたのだという。
「父はヒョウタンに関するものは皿・掛け軸・火鉢・花かご・徳利などそれは夢中になって集めましたが、同時に刀剣や武具をはじめ、多くの古い美術品も一緒に集め始めたのです。それは、戦後、日本の美術品が海外に流れてしまうのをとても心配し、『とにかく自分が集め保存しなければ』という気持ちが強かったからです」と話すのは、息子の裕人さん(55)と、靖子さん(53)夫婦。芳子さんも「夫の仕事は呉服商でしたが、仕入れに行く途中で気に行ったものを見つけるとそれを買ってしまい、肝心の仕入れが出来なかった事も度々でした」と懐かしそうに話す。
集めたものを当初、近所の子供に見せていたという三五郎さん。
「昔この地域は周りに家もあまりないような田舎で娯楽も少なかったので、我が家にやって来て色々な物を見るのが子供の楽しみだったようです。『小さい子にでも本物を見せるということは将来必ずいい影響を与える』と言うのが父の持論でした」と、裕人さん。
これらを展示している土蔵や蔵は築100年以上経つ風格のある建物。更に4500坪の敷地内には大正時代の代表的な建築である閑院宮殿下御宿舎や、四足門、岩風呂、五右衛門風呂なども残る。
「4月の終わりから5月にかけては、真紅の霧島つつじや百以上のボタン、山つつじが一斉に咲き始めます。見応えがありますよ」と靖子さん。見学者には、約1時間かけて庭を案内している。
1万個ものヒョウタンを見るだけでも十分に価値があるが、同館ではヒョウタンを作ってみたい人のために、時期が来ると苗を販売し栽培方法も教えている。子供が団体で訪れる時に体験出来るヒョウタンの絵付け(要予約)も人気が高い。
住所=小美玉市小岩戸1677 一般800円、小・中学生400円。団体(10人以上)割引あり。問い合わせは TEL.0299・48・4088 |
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