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「サーファーの心の支えに…」 鉾田市上沢の吉田智恵子さん |
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夏の間中、水着で過ごすという個性派な吉田さん |
サーファーにとって茨城の海はとても魅力的である。太平洋に面してきれいな海岸線が続き、波は比較的大きく安定していながら、変化に富んだサーフポイントがあちこちに数多くあるからだ。その海を目指して全国から1年中やってくるサーファーの間で「ゴッドママ」と呼ばれ慕われているのは、鉾田市上沢の吉田智恵子さん(69)。「サーファーズパラダイス」と名付けた海の見える高台の自宅は、星条旗を筆頭にアメリカングッズで埋め尽くされ、波乗りの好きな若者たちの憩いの場にもなっている。
海岸をパトロール、「ゴッドママ」と慕われて
16年ほど前、それまでの生活があまりに忙しかったために体を壊し、海の見える田舎でのんびり静養したいと、東京から引っ越してきた吉田さん。ゆっくり静かに過ごすうちに、「趣味を楽しむ生活でいいのだろうか?
やはり社会とつながり、そこで貢献し、『ありがとう』の言葉を聞いてこそ、生きている意味があるのでは」と感じるようになった。
その頃、犬の散歩中いつも気になっていたのが、車の中で窮屈そうに仮眠しているサーフアーの若者だった。体に良くないと思い声を掛け、吉田さんの自宅で休ませた事から、その後同じような若者にボランティアで寝床やシャワー、食事の世話までいろいろと面倒を見るようになった。吉田さん自身も45歳からサーフインを始め、オーストラリアやハワイにも頻繁に出掛け楽しんでいたので、彼らの気持が良く分かるのだ。
「でも、頑張って5年程そんな事を続けていたら蓄えが底を尽いてしまいました。現在カンパという形で少しだけ出してもらうようにしています」
そして吉田さんが鉾田に越して来た当初からずっと続けているのが、海を守るための海岸パトロール。海辺でのごみ拾いや車上荒らしの見回り、海でけがした人の傷の手当て、海で会う人すべてに声を掛けるなど、水難防止や防災活動に1人で奔走してきた。
2009年には鉾田警察署から、12年間毎日続けた功労に対して感謝状も贈られている。こんな吉田さんの存在は海外のサーファーの間では、「日本に行くならゴッドママに会え」と言われるほど有名。今までにも各国から多くの若者がやって来た。
「自分中心に生きたらだめ。人が望む事をいかにしてあげるかなの」と吉田さんは言う。
今日も鉾田の海を守るため、パトロールを続けている。 |
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