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菓子作り、夢は茨城特産品で 日立市の上野昭子さん=フランス菓子店経営 |
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「お菓子が縁で知人ができ、とても楽しいです」と上野さん |
日立市国分町の上野昭子さん(67)は、フランス菓子とチョコレートの店「アトリエマドレーヌ」を経営している。上質な材料を使用している上野さんの菓子は、おいしいと好評だ。「お菓子は私にとって武器。お菓子を通じて様々な年代の人たちとも知り合うことができ、それがとても楽しいです」と上野さんは目を輝かす。
大学で仏文を専攻した上野さんは、卒業後パリに留学し、フランス菓子に出合った。
「フランスでは、学生食堂でもかならず、デザートが付きます。フランス人の中で生活して、そこでお菓子を覚えました」。帰国後、母校の高校でフランス語を教える傍ら知人に料理を習ううち、とりわけ西洋料理のデザートのおいしさにひかれていった。
結婚を機に東京から日立に来た上野さんは、「自分で作らないとおいしいものは食べられないと痛感」し、東京まで料理と菓子作りを習いに通った。その後5人の子どもに恵まれると、子育てに追われながらも、東京まで一流のパティシエに菓子作りを習いに行き、腕を磨いた。子どもたちのおやつを作り、PTAの集まりなどに菓子を持参しているうち、次第に上野さんの菓子の評判が伝わり、喫茶店に菓子を卸すようになる。神峰町のブティック「蔵」にチョコレートや焼き菓子を置くと大好評で、結婚式の引き出物に150人分の焼き菓子の注文があったことも。「蔵」のオーナーが、「自分で店を持ったらいいじゃない」と後押しをしてくれたこともあり、開店を決意した。急いで営業許可を取り、自宅を改築。2007年12月に「アトリエマドレーヌ」をオープンする。上野さんが62歳の時だった。
「当時、娘は開業に反対でしたし、私の父はサラリーマンで商売の家系ではないので開業まで悩みましたが、今が適齢期と店をオープンしました。やってよかったです」と振り返る。「焼き菓子という言葉は日立では聞かなかった」と言うが、次第に口コミで客が増えていった。
上野さんの焼く菓子の特徴のひとつは、材料の質が非常に高いこと。「一流ホテルが使っている材料を使用しています」。昨年、5000円のクリスマスケーキを販売したところ、値段に反して大好評だったという。ケーキとしては高額だが、1ケース1000円のイチゴを2ケース使用し、タカナシ乳業の上質な生クリームをふんだんに使用したので材料費は3000円を超えているという。定番商品の中では、栗の渋皮煮がふんだんに入った焼き菓子「栗のケーキ」(5000円)も、高額にも関わらず贈答品に最適と人気だ。もちろん、1個平均150円と手頃な価格の焼き菓子もある。
「開店当初、作り方や量がわからなく、欠品などが出て苦労しました。震災の後はお客さまが減りました。最近は、お客さまがお菓子をプレゼントした人が喜ばれ、今度は、お客さまとしてお店に買いに来てくださり、大変うれしいです。上質な材料を使用しているので収益は多くないのですが、より多くのお客さんが来ていただけるように努力していきたいと思っています」と、努力を怠らない。菓子の地方発送も行っている。
「今後は干しいも、サツマイモ、レンコン、鉾田のメロンなど茨城の特産品を使用したお菓子を作りたいですね」と上野さん。夢は膨らむ。 |
「アトリエマドレーヌ」
店内には常時、約25種の菓子を販売しており、オレンジケーキとイチジクのフィグケーキ、マフィン、ドーナツといった定番商品も。上野さんのお勧めはフランス菓子「ガレットブルトンヌ」「クロカン」など。チョコレートは10月末から5月まで販売。
問い合わせは TEL.0294・37・0754 住所=国分町3の2の28 |
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