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月に1度近隣の高齢者施設を訪問して、歌謡曲や浪曲、日舞を披露 |
「生涯現役」と願うのは人間誰しも同じであろう。それは趣味でも、仕事でも、社会奉仕でも、全てにいえることである。しかし実際は年を重ねるごとに身体もあちこち弱りだし、自分の事を考えるだけで精いっぱいになってくる。それが90歳を過ぎていればなおさらである。そんな中で91歳の現在も地域の人の先頭に立ち、ボランティアを始めさまざまな活動を行っている人がいる。それが行方市次木に住む米澤精一さんだ。電話の向こうから聞こえてくる声も元気いっぱいで、楽しみな取材となった。
つい最近買物に出かけた先で「70歳を過ぎているのですか」と聞かれたので「ずいぶん昔に過ぎましたよ」と答えたと笑う米澤さん。それ程に年齢を感じさせないのも当然。現在も3つの会長を兼務し忙しく動き回る毎日なのだから。
まずは農協の親睦団体である「年金友の会」の会長。これだけ長く続けている人は県内でも珍しいと言われており、1985年からすでに25年以上になる。「そろそろ次の人を育てるためにも役を降りたいと思っているのだが『会長職を忙しくしているのが元気の元ですよ』と多くの会員に言われるのでやめられない」と言う。
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米澤精一さん |
60代の農協の役員だった頃には、組合の赤字を大改革して立て直したという実績の持ち主なだけに、人の上に立つ要素は十分持っていたようだ。
2つ目は、10年前に1度解散し消滅してしまった老人会の会長。
そして今、一番力を入れているのが「歌と日本舞踊友の会」というボランティアグループの会長だ。
1995年に旧北浦町の有志で発足した「日本舞踊友の会」に米澤さんが会長として参加した10年前から、歌も加え10人の仲間と、月に1度近隣の高齢者施設を訪問している。歌謡曲や浪曲や日舞のほかに、司会の合間にする米澤さんの楽しいおしゃべりは、お得意の三波春夫の「俵星玄蕃」とともに大人気である。
現在は鉾田市・行方市・小美玉市と12カ所程の施設を回るため、次の訪問は1年先になってしまうのだが、それを楽しみに待っていると言われた時は喜びもひとしおだ。
今年最初の施設訪問に一緒に参加したメンバーの清水徳江さん(78)も米澤さんを「面倒見がよく1人1人を大事にする親のような存在。米澤さんが会長をしている限りこの活動を続けたい」と信頼している。
仲良く7人で暮らす大家族だがその誰からも、「健康でいつまでも地域の人のために動いて欲しい」と言われる声を励みに、これからも忙しい毎日を送っていきたいと語る。2011年度の「エイジレスライフ章」も受賞した米澤さんだ。
問い合わせは TEL.0291・35・1611
※エイジレスライフ章=年齢にとらわれず、生き生きと積極的な社会生活や活動を行う人や団体を内閣府が表彰するもの |
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