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下旬には紅葉のグラデーションとなる |
大子町の生瀬富士(420メートル)は、切り立った岩壁を持つ岩山で奥久慈「袋田の滝」の北西部に位置する。登り始めはなだらかだが、稜線(りょうせん)に出ると急登になり、頂上付近では岩登りのコースとなる。11月中旬から下旬は紅葉が色彩のグラデーションに染め上げ、ハイカーを魅了して止まない。
町営袋田無料第1駐車場前の県道を渡り、「生瀬富士」の道標に従ってわき道に入る。さらに、民家の裏山の「生瀬富士」の道標に従い、細い山道を登っていく。道の右側は杉林、左側は自然林で高度を上げずに右へなだらかに登る。
沢が近づき、杉林をジグザグに登るようになるとすぐに尾根に出る。尾根は最初、なだらかであるが、徐々に傾斜がきつくなる。登りきると主稜線の鞍部(あんぶ・尾根のくぼんでいる所)のような所に出る。分岐があり、立神集落に越えて下りる道があるがあまり使われていない。この道を下りると生瀬富士には登れないので注意しよう。生瀬富士は稜線沿いに杉林の中を登る。
稜線をしばらく歩くと「生瀬富士山頂」の道標があり、登りがしだいにきつくなる。急登の途中からは、ロープがあるので、ロープをしっかり持ち、滑らないように気を付けて登ろう。
この辺りから自然林となり紅葉はいっそう鮮やかになる。モミジの赤、オレンジ、黄色と微妙な色のトンネルからこぼれる光にハイカーはただただ息を呑む。鮮やかな紅葉を堪能しながら急登を登る。山頂付近になるとロープがくさりのように垂れた岩場、その次にくさりが垂れた3メートルほどの岩場になる。「登れるかな? でも登らないと山頂には行けない!」と覚悟を決め岩場を登り始める。約3メートルの岩場ではあるが、スリル満点。岩場を過ぎてもやはり急登で、足場を確かめつつ登るとやっと頂上にたどり着く。
頂上にはピークが2つある。ひとつめは狭いので北側の岩の頂上まで行くと休憩できる場所がある。頂上からは、袋田男体山、長福山や奥久慈の山々が望め、360度の紅葉のパノラマを広がる。
生瀬富士から袋田の滝川に沿って、岩尾根が小ピークを連ねながら袋田の滝上まで続いている。このルートは整備された登山道ではなく、南側は袋田の滝の断崖絶壁。地図、コンパスを持ち、ルートファインディングのできる上級者向けコースである。途中、袋田の滝を見下ろす絶景ポイントがあるが危険なので、ここは訓練をし、良きリーダーと訪れることにし、初心者は生瀬富士で引き返そう。
下りは登ってきた道を滑らないようにロープを伝って下る。袋田と大子温泉は茨城の名湯であり、各旅館の日帰り入浴やお手軽には関所の湯、滝見の湯などで入浴し疲れを癒すこともお勧めだ。
登り約2時間、下り約1時間。軽登山靴かハイキング用運動靴が必要。 |
【アクセス】
車の場合は、国道461号線から袋田の滝に向かい、町営袋田無料第一駐車場に駐車する。JR水郡線を利用する場合は、袋田駅から駐車場まで歩く(約3キロ)。または、「滝本行き」バスを利用。バスは日に上下合わせて8本で、水戸方面から来るJRと連携している。
【問い合わせ】
大子町観光協会 TEL.0295・72・0285 |
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