|
自分の田んぼを提供し稲刈りや餅つきの体験授業を長く受け入れている大山さん |
内閣府では、高齢者が年齢にとらわれず、自らの責任と能力において自由でいきいきとした生活を送る「エイジレス・ライフ」を重要と考え、社会と関わりを持ち充実した生活を送っている実践者を紹介し、その生き方を参考にしてもらうための「エイジレス・ライフ賞」を毎年選出している。地域のリーダーとして楽しみながらさまざまな活動を続ける、ひたちなか市東石川の大山修徳さん(81)も2001年に受賞した1人。それはどんな生き方なのか、大山さんを訪ねてみることにした。
稲刈りや餅つき体験
大山さんは先祖代々続く大きな農家に生まれた。庄屋をしていた家系に、面倒見の良い性格も加わって、長い間地域に根付いた活動をしてきた。その1つが高齢者クラブ「東石川三葉会」会長時代の特色ある運営である。
役員75歳定年制の導入や、積極的に被災地への支援・寄付を行うこと、また地域の子供会を通して世代を超えた交流を活発にするなどに加え、クラブとしての奉仕活動や趣味を楽しむ行事の実行などにより、大山さんの会長就任後、会員数が増えたという実績を残している。
その中でも子供との交流には大山さん個人としても特に力を入れていることから、小学校の校外学習の一環として、自分の田んぼを提供し稲刈りや餅つきの体験授業を長く受け入れており、多くの関係者からも喜ばれている。妻のたみさん(81)も「この時ばかりは大忙しで一緒に手伝ってきましたが、後から子供の礼状が届いたりするのでやりがいがあります」といつも協力している。
子供の礼状が多く届く |
また大山さんはかつて農村部で行われていた「わーほい(鳥追い・どんど焼きともいう)」という正月の行事を1994年に復活させたことでも知られている。この行事は、毎年1月14日の夜から15日の朝にかけて集落の仲間がいろりを囲んで一晩明かし、明け方わらで門松やしめ縄、書き初めなどを燃やし「わーほい」と唱えながら帰っていく。子供の楽しみな伝統行事だ。一時期廃れたが、大山さんはこれを地元の子供に伝えたいと、そのいわれを知る年寄りや、地域の人と共に企画し、毎年行うようになった。
その後、子供の数も減り、またわらなどを燃やすたき火などが消防上問題になるなどもあって実行は難しくなっているが、「参加した子供の目には思い出深く残っているはず」と大山さんは信じている。
そんな大山さんの住む旧勝田町は終戦直前、米艦船の艦砲射撃を受けた悲劇の町でもある。大きな精密機械の工場がありそれが攻撃の対象になったからで、その爆撃のため周りの住宅も多くの被害を受け死者も多数出た。
昔、竹やぶや田んぼだったという大山さんの自宅周辺も今は町のにぎわいとなり、古くからの行事や様子を知る人も少なくなっている。
「まだ近くには防空壕も残っています。記憶の確かなうちに、当時の様子を体験者として今の若い人に伝えるべき」と考えた大山さんは、積極的に学校などに出向き話す機会を作っている。
数年前に大病をしてからは活動も控えているということだが、3世代8人という大家族に恵まれていることでもあり、これからも地域の輪を広げるためにも頑張って欲しい。
大山さん TEL.029・274・2533 |
| |
|