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「どぶろく」で地域振興 (北茨城市の山形克巳さん) |
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「どぶろくを飲みに来てくださる方が増えて北茨城市の地域振興のために役立てば」と山形さん(左) |
自然の宝庫、花園渓谷の近く、北茨城市華川町で農業を営む、山形克巳さん(69)は2004年に、どぶろく(濁酒)製造の認可を取得し、「農家民宿やまがた」でどぶろくを提供している。「どぶろくを飲みに来てくださる方が増えて北茨城市の地域振興のために役立てばと思い、どぶろく造りをしています」とどぶろく造りに情熱を注いでいる。
酵母は美容と健康に最適
各地域の特性に応じて教育、農業、社会福祉などの分野における構造改革を推進し、地域の活性化を図ることを目的として、平成2002年に「構造改革特別区域」が設けられた。これにより、どぶろく造りが特定地域の特定施設で認められるようになった。北茨城市は、04年に「どぶろく特区」として認定されている。
現在、全国で「どぶろく特区」は、約100カ所ある。北茨城市では、山形さんの呼び掛けで当初15〜16人が申請しようとしたが、認定されるには自家栽培米でどぶろくを造り、農家民宿でどぶろくを提供しなければならないこともあり、結局どぶろく造りを税務署に許可されたのは、山形さん一人となった。
山形さんはどぶろく造りを認定されるよう、茨城県工業技術センターで学び、杜氏の資格を取得。山形さんのどぶろくは自家栽培米のミルキークイーン、水、麹(こうじ)、乳酸、酵母で造る。日本酒はもろみをとるが、どぶろくはもろみを残す。ここが違う点である。
どぶろく造りは温度管理が難しいという。ベストシーズンは11月〜4月。
「最初は甘く、3〜4日すると、アルコールになります。どぶろくをかくはんするときに、甘いどぶろくをなめられますよ」と妻のみどりさんはほほ笑む。「雑菌が入らないようにすることが大変です。乳酸を使用して、雑菌が入らないようにしています。どぶろくを造っているときは、雑菌が入るので、私も妻も大好きな納豆を食べられません」と苦労を話す。
山形さんのどぶろく造りがテレビで放映され雑誌に掲載されると、遠方からも買いに訪れる人がいた。
「東京の青梅市から80歳の男性が奥さんと宿泊されました。どぶろくを飲みながら、『おやじがどぶろくを造っていましたが、小さかったので飲めませんでした。どぶろくを飲んでおやじを思い出しました』と、涙を流していましたね。また、若い人たちが、どぶろくがどのようなものかと飲みに来てくれることもありますよ」と山形さん。
「北茨城市の地域振興のために役立てば、という一心でやっています。これからは、麹や水の量を工夫してさらにおいしいどぶろくを造りたいです。酵母は、美容と健康にいいのでぜひ飲んでください」と山形さん。
「農家民宿やまがた」1泊6300円、どぶろく720ミリリットルで1680円。問い合わせはTEL.0293・43・9132 |
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