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焼き菓子が評判 (水戸市の授産施設「くれよん工房」) |
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杉沼さん(右から3人目)と武田さん(右端) |
水戸市酒門町の社会福祉法人「くれよん工房」は、障害を持った人たちが焼き菓子やストラップ、ブローチなどの雑貨を作り販売する授産施設だ。その「くれよん工房」で通所者や働いている人たちのためにランチ作りのボランティアを行っている杉沼紋子さん(71)。「朝、今まで『おはよう』と言わなかった子どもが、言ってくれるようになると大変うれしいです。喜怒哀楽が素直なのがとてもいいと思っています。焼き菓子はとてもおいしく、安心安全な材料で作っていますのでぜひ召し上がってくださいね」と杉沼さんは楽しそうに話す。
「くれよん工房」は、障害のある子どもを持った5人の親が7年掛けてアクセサリーの販売やカンパなどで資金を集め、1997年に開所した。クレヨンにいろんな色があるように、いろいろな人がいて障害も個性と思ってもらえるような社会が作れたら、という思いで工房名を付けた。
「『わが子のためだけではなく、わが子を含む地域のために何かしたい』と思い、設立しました」と施設長の武田由美さん(56)は話す。ここでは障害を持った人も一般の人と同じように働く。また、工賃を得ることを目的とした就労継続支援と、企業に実習に行きながら企業への就職を目指す就労移行支援を行っている。
当初、通所者6人、スタッフとボランティア合わせて30人でスタートしたが、現在では通所者29人、常勤スタッフ5人、非常勤7人、ボランティア7人で運営している。年間売り上げは1600万円。その内の4割が通所者への工賃になる。
「友人から『くれよん工房』のクッキーをいただき、おいしかったので15年ほど前から、イベントなどでの販売やお菓子作りを手伝うようになりました」と杉沼さん。
「最近では毎週金曜日に通所者たちや働いている人たちのために、スタッフとともにランチ作りのお手伝いをしています。40人分のランチを用意するのは味付けの仕方などが難しいですが、おいしいものを作りたいと思っています」
かわいくて大人気のクッキー |
障害者に大きな励み 年間売上高1600万円に
杉沼さんは大学で心理学を学び、現在は「茨城県難病団体連絡協議会」で相談員をしている。
「通所者には受容し、自尊心を傷つけないように接しています。人間、それぞれ違って当り前だと思います。先入観無しに受け入れてくれると言われるとうれしいです」と話す。
くれよん工房では、「お小遣いでも買えるクッキーを」と始めた50円のかわいいクッキーから、1本1000円のフルーツケーキまでの40種類以上の焼き菓子を作っている。特に季節限定のスティックケーキやスノーボールが人気だ。子ども会のクリスマスなどにはいつもたくさんの注文が寄せられるという。材料は奥久慈の玉子や100%北海道産の小麦粉を用い、合成着色料はほとんど使用しない。
「菓子職人の経験がある職員やボランティアさんがアドバイスをしてくれます。『障害があっても楽しく生きる』をモットーに、『ハンディがあってこんなにもおいしいクッキーが焼ける』と知ってほしい」と武田さん。
菓子はセイブスーパーマーケット、和菓子「ふじた屋」のほか、イベント会場などで販売している。
「今後は、もっと販路を広げていきたい。来年1月には、水戸市米沢町に新しい工房と店舗を開店します。カフェスペースもあり、焼き菓子に加えプリンも販売し、雑貨もたくさん取り揃えていますので、ぜひいらしてくださいね。また、ボランティアも募集中です」と武田さんは呼び掛けている。
問い合わせ TEL.029・247・9040 |
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