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田舎暮らしアドバイザーの河合さん夫婦 |
町がアドバイザーを委嘱
名瀑・袋田の滝の紅葉、名湯・奥久慈温泉郷、久慈川でのアユ釣りを満喫…。大子町は自然の宝庫だ。河合眞英さん(63)は、会社を退職後、2006年に妻の信子さん(62)と水戸市から大子町の古民家に移り住んだ。その後、大子町から「田舎暮らしアドバイザー」として委嘱を受け、田舎暮らしをしようとする人たちのために空き家を探し紹介、さまざまな相談に応じている。また田舎暮らしを始めようとする人たちが宿泊できる農家民宿を営みながら、田舎暮らしを体験できる「おためし農家」も用意している。「私は60歳になるまで世の中にお世話になりました。今度はその分世の中に恩返ししたいと思い、田舎暮らしアドバイザーとして空き家対策と定住促進を行い、地域の活性化を図っています」と生き生きと話す。
河合さんは、3年前に大子町に約300坪の畑付きの土間やいろりのある古民家を借り、農業生活を開始した。
「田舎暮らしをして、畑作業やゴルフを楽しみしたいと古民家を借りました。隣家とは少し離れた里山に住みたいと思い1カ月以上探しましたが、結局、最初に役場から紹介された集落の中の家に借りることにしました」と語る河合さん。
リフォーム中の3カ月間は自宅のある水戸と大子町を往復していた。リフォーム完了後しばらくは水戸と大子町の2地域居住を始め、昨年の3月に大子町に移住した。信子さんは「畑で作物を作ることが好きなのでここの生活はとても楽しいです。地元の人たちにみそ作りやこんにゃく作りを教わっています」とほほ笑む。
現在、河合さんは大子町から「田舎暮らしアドバイザー」として委嘱を受け、活動している。大子町企画観光課や(財)「グリーンふるさと振興機構」と協働し、ボランティアで空き家を探し移住希望者に紹介したり、さまざまな相談に応じるのが河合さんの仕事だ。空き家対策と定住促進を兼ね、地域の活性化に貢献している。今までに、河合さんの紹介で24軒の空き家が埋まった。
「空き家」を紹介 “おためし”体験も
「大子町と『グリーンふるさと振興機構』は、移住してきた人たちの住宅リフォーム費などの応援をするために20万円ずつ補助する支援制度も確立しています」
大子町には「グリーンふるさと振興機構」が用意した「おためし住宅1号」がある。その「おためし住宅1号」に、半年前から体験入居中の久毛しずかさんに話を聞いた。
「田舎暮らしができる場所を探すため、1年の契約で仮住まいをさせてもらっています。これまでは仕事が忙しく、家には寝に帰るだけでした。今は充電中です。都市では空を見上げることがありませんが、大子で青い空と、澄んだ夜空にまたたく星を見た時には涙が止まりませんでした。河合さんに空き家を紹介して頂き、ただいま勉強中の炭素循環農法で不耕起栽培農業を行いながら、いずれは大子で仕事をみつけたいと思っています」と穏やかな表情で話す久毛さん。
河合さんは、田舎暮らしを考えている人たちが住む家や畑を探すときに滞在できるように、3年前から自宅で農家民宿「古民家の宿かわい」を始めた。また2年前からは田舎暮らし体験移住用に約250坪の畑付き古民家を1カ月単位で提供している。現在は千葉から来た人が滞在中だ。予約は1年先まで入っている。
河合さんは言う。
「移住しようとしている人たちは、田舎暮らしにあこがれを抱いています。その人たちに田舎暮らしの良さよりも大子の夏の暑さ、冬の寒さ、虫やヘビもいるなどの田舎暮らしの大変さ、地域に溶け込むことに苦労することなどを話します。私は、移住してきた人たちが住み易いように、地域の古い習慣を残しつつ、時代に合わない習慣を変えようと努力しています」
農家民宿「古民家の宿かわい」は素泊まり3675円。田舎暮らし体験農家1カ月4万円(1年間36万円)。問い合わせは河合さんTEL.090・3094・3490 大子町企画観光課TEL.0295・72・1131 |
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