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農薬の代わりにアイガモを放す |
害虫対策はアイガモで
北茨城市中郷町の志賀陸男さん(74)は、EM自然農法栽培で体にも環境にも優しい米を作っている。化学肥料のかわりにEM菌で土壌を豊かにし病虫害を少なくする。また農薬のかわりにアイガモを田に放ち、アイガモが雑草を踏み害虫を食べることにより除草・害虫対策を行う。そして、実った米は太陽の光で自然乾燥させる。品種はこしひかりやミルキークイーンで、「酸化しにくく長持ちし、粘りがあって甘く美味」と大変好評だ。
「鯉渕学園農業栄養専門学校で作物保護を学び、JAで営農指導員として働いていました。定年退職後は、今までとは別な生活をしようと、化学肥料や農薬を使用しないEM自然農法栽培で体にも環境にもやさしい米を生産しようと思いました」と志賀さんはきっかけを話す。
EMとは、Effective Microorganisms(有用微生物群)の頭文字をとった略語で、10属80種以上の微生物集合体のことをいう。EM菌を米ぬかと混ぜてEMぼかしを作り、土に混ぜ土壌を豊かにし、土壌中の養分を作物に吸収させる。土壌環境がよくなれば、病気になりにくく害虫がつきにくくなる。また、病気対策としてEM酢トチュウ(EM菌とりんご酢・焼酎を発酵させたもの)も散布している。
志賀さん夫妻 |
志賀さんは農業専門学校で学んだことを生かし、12年前からアイガモ農法も行っている。農薬を散布するかわりに約200匹のアイガモを田に放つ。アイガモが畝を歩くことにより除草ができ、害虫を食べることにより、除草・害虫対策を行う。また、アイガモの排泄物は肥料になる。
「化学肥料を使用し害虫を農薬で退治していると、だんだん農薬に害虫が慣れてきて、より強い農薬を使用ないと害虫を退治できなくなります。長野県佐久市に農薬を使用していて病気になった人たちの病院を訪ねたことがあり、化学肥料や農薬の怖さを知りました」。化学肥料と農薬を使用する農業に警鐘をならす。
収穫した米は太陽の光をさんさんと浴びて自然乾燥する。米の品種はこしひかりと茨城県で育成された、新種のミルキークイーン。「EM自然農法栽培の米は酸化しにくく長持ちし、また農協の品質結果で食味値は90近くあり、粘りがあって甘く美味しいです」と好評も良い。口コミで米を買いにくる人たちがしだいに増え、なかには日立市など遠方から来る人も。「EMぼかしを作っているところやアイガモが田に放たれているところを見学するとほんとうに体にも環境にもやさしいお米だというのがよくわかります」と購入者たちは喜ぶ。
しかし志賀さんと洋子夫人の2人だけで、約1ヘクタールの農地を耕すには除草などが大変だ。「アイガモが逃げないように田にネットを張るのも一苦労です。アイガモだけには除草を頼れないので、チェーンをひいて除草しています。今後は機械を使うことも計画しています」と工夫を凝らしている。
EM自然農法栽培米のこしひかりとミルキークイーンは5キロ5000円。炊飯時の水加減の目安は控えめ(米に対して1割程度)に。
問い合わせは志賀さんまでTEL.0293・42・0358 |
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