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「仲間とともに人形作りに取り組めるのはうれしい」と小林さん |
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江戸時代末期に建てられた商家建築で、国の登録文化財にもなっている「丁子屋」(ちょうしや)。市の委託で観光協会がこの建物を借り受け、現在は観光スポット「まち蔵藍」として運営している。その一角にこのたび、3月のひな祭りに向けてつるしびなが飾られた。色とりどりのちりめんで作られた人形がにぎやかに並び、訪れる人の目を引きつけている。この飾りを作ったのが石岡市総社の小林妙子さん(70)である。
埼玉県新座市の幼稚園で給食調理の仕事に約10年間携わっていた小林さん。45歳の時、持病だった腰痛が再発して仕事を退職することになり、夫が単身赴任している石岡市に移り住んだ。
その当時は腰に痛み止めの注射を打って、どうにか生活できたが、数年前に脊髄(せきずい)の圧迫骨折になり、歩行困難になってしまう。それ以来、自宅で過ごす時間が長くなった。
そんな時に始めたのが昔から好きだった人形作り。3年前に独学でちりめんの飾りびなを作り始めるとめきめき腕を上げ、自宅の近くにあるコミュニティーセンターの仲間とともに本格的につるしびなを作り始めた。
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小林さんが手掛けた作品の数々 |
現在小林さんは月に2度教室を開催し、つるしびなの講習会を開いている。会費は無料。10人のメンバーが和気あいあいと、つるしびな作りに熱中している。
メンバーの1人、石岡市谷向町の塚野あや子さん(56)は「昔から着物が好きで仕立ての仕事をしていたこともあった。今は小林さんに教えてもらいながらつるしびなを作っているがとても楽しい」。かすみがうら市の七沢真弓さん(72)は「出来上がったらひな祭りにはぜひ自宅に飾りたい」と話す。
「腰の骨が砕け、シルバーカートを押さないと歩けない状態。でも好きだった人形作りを友だちと一緒におしゃべりしながら作ることができて、とても楽しい。昨年の節句は少ししか飾れなかったが今年はずいぶんできた。これからももっとたくさん飾れるようにがんばりたい」と笑顔で話す小林さん。話している最中も手は止まることがなく、本当に楽しそうに人形を作っている。
小林さんたちは1年を通してつるしびなを作っているが、何を作るのも自由。受講者は各自で材料を持参し活動しているので興味のある人はぜひ訪れてみては。
『まち蔵藍』
お問い合わせ/TEL:0299-23-8723
(3月中旬までつるしびなを展示予定)
『まちかど情報センター』
お問い合わせ/TEL:0299-27-5171 |
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