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真空管アンプの音、多くの人に“発信” 越谷市の山﨑順一さん |
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「2万ヘルツまでしか情報が記録されていないCDと比較すると圧倒的にレコードの音がいい。デジタルもハイレゾが登場してようやくアナログの音に近づきました」と山﨑さん。会社のオーディオルームで |
「ダウンロードで音楽を聴く」というデジタル時代に逆行するかのように、真空管アンプの音を追求しているのが越谷市に住む山﨑順一さん(61)だ。「自分の求める音を出したい」と勤務していた鉄道会社を辞めて、38歳で真空管アンプの専門メーカーを立ち上げた。「デジタル全盛だからこそ、真空管アンプの良い音を一人でも多くの人に知ってほしい」と真空管アンプの低価格化に挑戦している。
JR退職、自ら会社経営
真空管アンプの一般的なイメージは「マニアック」「壊れやすい」「価格が高い」というものだろう。山﨑さんはそんな真空管アンプの概念を打ち破りたいと思い、「手軽に良い音が楽しめサラリーマンでも買える価格」を目指して製品開発を行ってきた。
「会社を作って1作目となる真空管アンプが『VP—300BD』。組み立てキットでしたが、価格は9万9800円。中国で生産して価格を抑え、価格破壊と言われました。当時は同じ性能のものが50万円以上していましたから」と山﨑さん。
今も、その気持ちは変わらず「オーディオファンはもちろん、あまりオーディオに興味がない女性にも聴いてほしい」と開発したのが「ルビー」というコンポーネントステレオだ。小型でおしゃれなデザインのルビーはプリメインアンプ、CDプレーヤーで合計14万5800円と真空管アンプを使用したオーディオセットとしては廉価だ。プライベートルームやベッドルームで良い音楽を楽しむことができる。
もともと鉄道マニアでもある山﨑さんは旧国鉄(JR東日本)で特急踊り子号の車掌を長く勤めていた。民営化の3年後に退社し、その後、埼玉県越谷市で(株)トライオード社を立ち上げた。
「旧国鉄、JRには20年以上勤めました。あと3年いれば特別手当がもらえたんですけど」と笑う。高校生から好きだったオーディオの自作という趣味は次第に高じて、JRを退社するころにはアメリカやイギリス、ドイツなどへ部品を買い付けに行くほどに—。「当時は今のようにインターネットやメールなどの通信手段がありません。海外の雑誌を買ってきては調べて現地の販売店を訪ねていました」
手軽さ、高音質の両立を
購入した部品のうち自分が必要なもの以外は譲っていたため、オーディオの自作が趣味の人の間では山﨑さんの名前は知られていた。そうしたオーディオファンからの注文が増えて忙しくなったことで鉄道マンを辞め独立することになる。
社名の「トライオード」は山﨑さんの一番好きな真空管の構造(三極管)からとった。「約110年前に発明されたといわれているのですが、三極管のアンプを通して聴いたボーカルの音は鳥肌が立つような感じがします」とほれ込んでいる。三極管を使った同社のアンプには300番型の型番が付けられている。
「ブランドの信用を確立するのに10年くらいかかりましたが、今では家電量販店などを経由して月に約200台を販売しています。直販はしません。真空管アンプでこの台数を販売しているメーカーは他にないと思います」と山﨑さん。「今年の年末ごろをめどに『ルビー』の価格をさらに下げた新製品、真空管アンプを使った7万〜8万円のコンポを販売しようと思っています」と話す。
「手軽にいい音楽を」という山﨑さんの挑戦はこれからも続く。 |
2017 東京インターナショナルオーディオショウ
9月29日(金)、30日(土)、10月1日(日)、東京国際フォーラム(JR有楽町駅徒歩1分)で。
(株)トライオード(埼玉県越谷市袋山609の3)は同オーディオショウに出展、G507号室ブースでセミナーを開催する。テーマは、① 低価格真空管アンプのやさしい使いこなし方 ② 真空管とは? ③ 真空管アンプとトランジスターアンプの音色の違い ④ やさしいハイレゾ講座。入場無料。詳しくはWEBで9月1日(金)から随時公開。 http://www.triode.co.jp/
問い合わせは(株)トライオード Tel.048・940・3852 |
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