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よい演奏のためウエートトレーニング チェロ奏者・藤原真理さん |
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体を動かすことが好きな藤原さん。スキーは上級者で毎冬、北海道で滑っている。また、フィギュアスケートやサッカー、競技スキーの観戦も好きで、浅田真央の大ファンだという |
12月、さいたま市でリサイタル
日本を代表するチェロ奏者の一人、藤原真理さん(67)はスポーツ好きで知られる。自宅やジムで、時に個人トレーナーとウエートトレーニングを行っている。音楽の演奏家が人一倍熱心に体のメンテナンスに励むその理由は、常にベストの体調で演奏会に臨むため。そんな藤原さんが奏でるチェロの音色は「力強さと温かさを合わせ持つ」と評判だ。10日、彩の国さいたま芸術劇場音楽ホールで初めてリサイタルを行う。
大阪出身の藤原さんは指揮者、チェロ奏者、そして教育家の斎藤秀雄に15年間師事した。1971年日本音楽コンクール・チェロ部門1位および大賞を受賞、78年チャイコフスキー国際コンクール2位と国内外で活躍。また、2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」エンディングテーマを坂本龍一と共演するなどテレビ関係の仕事も多い。一昨年、30年ぶりにJ・S・バッハ無伴奏チェロ組曲を新録音し、ナクソス・ジャパンからリリースした。
抱えるようにして弾くチェロは、小柄な藤原さんにとって体力が必要な楽器だ。「身長が170〜180センチもあれば軽々と楽器が体に収まるのに、と思いますよ」と話す。
そのチェロを60年以上も弾き続けてきた藤原さんが心掛けていることは、演奏会で常にいい状態でチェロが弾けるよう日頃から体のメンテナンスを怠らないことだ。
「演奏会で使った筋肉の疲れは放っておくと硬くなってしまいます。また、関節周りの細かい筋肉も柔軟性を取り戻さなくてはいけません」と藤原さん。筋肉が硬くなったままだと、自宅での楽器の練習にも支障が出る。筋肉をほぐして軟らかくすることで体全体のバランスがよくなり、体を上手に使うことができるようになるのだという。
林光のチェロ・ソナタ
そのために行っているのがウエートトレーニング。藤原さんは「昔は、自宅で縄跳びやストレッチをやっていましたが、30歳を過ぎたころからジムに通い始め、体に負荷をかけ過ぎない程度にマシンを使って運動しています」と話す。最近では、一人ではできないトレーニングはアスリート並みに個人トレーナーに付いて行っているという。「おかげさまでこれまで演奏会をキャンセルしたことはありません」と藤原さんはにっこり。
そんな藤原さんのチェロ・リサイタルが10日(土)午後2時から彩の国さいたま芸術劇場音楽ホールで開かれる。藤原さんが選んだプログラムは、古典からロマン派へと移り変わるころのベートーベンの作品やヘブライの古い聖歌の旋律を変奏したブルッフの幻想曲「コル・ニドライ」などを演奏する。
中でも、注目されるのは藤原さんのために書かれた林光のチェロ・ソナタ「十月の歌」だ。「2楽章しかないのに濃縮された曲です。聴く人に共感を持ってもらえるような要素が入っています。どれ一つとして流してよい音符がなく、演奏者にとっては難曲」と藤原さん。アンコールも数曲用意しているようで、果たしてどんな曲が聴けるか。ピアノ伴奏は、約20年共演し呼吸もぴったりの倉戸テルさん。
同ホールでのリサイタルは今回が初めて。開館22年目を迎えた同ホール。そこでの演奏は「どんなふうにチェロとピアノの音色が美しく響いてくれるか」と藤原さん。「世の中のことはしばらく忘れて、演奏会のひとときを楽しんで」と話す。 |
©Atsuya Iwashita |
藤原真理 チェロ・リサイタル
10日(土)午後2時、彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール(JR与野本町駅徒歩7分)で。
出演:藤原真理(チェロ)、倉戸テル(ピアノ)。曲目は、ベートーベン:モーツァルトの〈魔笛〉の“娘か女か”の主題による12の変奏曲ヘ長調作品66、同:チェロ・ソナタ第1番ヘ長調作品5—1、林光:チェロ・ソナタ〈十月の歌〉、ブルッフ(ローズ編曲):コル・ニドライ作品47.チケットは正面席4000円、バルコニー席3000円、全席指定。
問い合わせは財団チケットセンター Tel.0570・064・939 |
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