笑いと遊び心たっぷりの舞台を ダンスカンパニー「コンドルズ」主宰・近藤良平さん
結成20周年記念公演(9月10日=土=NHKホール)の前売りチケットが即日完売し、9日(金)の追加公演が決定しているコンドルズ。埼玉公演も「ステージを見てもらえば、パワーと感動を感じることができるはず」と近藤さん
新作「LOVE ME TenDER」、埼玉で今月上演
学ラン姿の男性が所狭しとステージでダンスを繰り広げる—。そのパワーとユニークさで老若男女を楽しませるダンスカンパニー「コンドルズ」。結成20周年の記念イヤーに埼玉公演10作目の新作、「コンドルズ 埼玉公演2016新作『LOVE ME TenDER』」が彩の国さいたま芸術劇場大ホールで18日(土)・19日(日)に開催される。同公演前の稽古場に主宰の近藤良平さん(47)を訪ね、「笑いと遊び心がたっぷり」というコンドルズの舞台について聞いた。
国内はもちろん、世界約30カ国で公演を行っているコンドルズ。その中で毎年恒例となっている埼玉公演では新作に挑戦している。
10作目となる今回の公演のタイトルは「LOV ME TenDER」(「ラブ・ミー・テンダー」)。1956年のエルビス・プレスリーのヒット曲名に埼玉公演10作目の意味を込めた。
コンドルズを主宰し、構成・映像・振り付けを担当する近藤さんは「彩の国さいたま芸術劇場と一緒にやりましょうということで始まって10作目。こんなに続くのはなかなかありません」と話す。「(彩の国さいたま芸術劇場は)大空間なのに大勢でドーンと仕掛ける場面も、一人で立っても絵になるし、ここに立てて幸せだ、と思えるんですよ。そのためか、埼玉公演は不思議と色気のある作品が出来上がる」。パワフルなダンスと生演奏、それにコントや人形劇、映像といった多彩な内容で毎回、観客を魅了している。
商社マンだった父の転勤で生後まもなく日本からチリへと渡り、その後ペルーに移り住んだ近藤さん。5歳の時に一時帰国するが、再びアルゼンチンへ。3年後に帰国するまで合計8年半を南米で育った。この幼少期の環境は近藤さんに大きな影響を及ぼす。最も身近な問題は言葉だった。大きくなってからも日本語を話すのはあまり得意ではなく、「10代のころはコンプレックスになっていました」という。
その後、横浜国立大学に入学してからダンスを始めた近藤さんは、ダンスで優れた“身体能力”を発揮する。ダンスを通じて知り合った仲間と活動を始め、それが96年のコンドルズ結成につながる。
現在のメンバーは、結成時からの人に加えて3年ぐらい前から入った人の17人で構成。年齢は20代〜50代まで、と幅広い。メンバーのほとんどがコンドルズの活動以外に仕事を持っており、「予備校の先生や新宿ゴールデン街のバーのマスターもいます」と近藤さん。そのほかアシュタンガ・ヨガのプロ、大学の文学部准教授、高校の美術教師、ファッションモデル、中国武術の使い手、外資系企業の日本支社長など多士済々だ。
新たな領域に挑戦
近藤さんはコンドルズ以外で、NHK総合「サラリーマンNEO」内「テレビサラリーマン体操」などで振り付け出演するとともにNHK連続テレビ小説「てっぱん」オープニング振り付けのほか、舞台、映画などでも振付家として活躍。
その一方で力を入れているのが、ダンスの普及活動だ。桜美林大学や立教大学などで非常勤講師としてダンスの指導を行う一方、「埼玉県障害者アートフェスティバル」のワークショップで障害者による身体表現という新しい領域に挑戦。また、「彩の国さいたま童謡コンサート」で県民親子チームに振り付けを行うなど、ダンスの魅力を幅広く伝えようとしている。
ダンスが身近に
そんな近藤さんが最近、感じるのが日本人にとって「ダンスが身近になってきた」こと。5年ほど前から中学校などでダンスが必修化されたことで、「人前で踊るのは恥ずかしい」と思っていた男性の意識が、大きく変化しつつあるという。「東京オリンピックが開催される2020年にはダンスを学校で習った子どもたちが青年になっています。我々も彼らに負けないようにしなければ」と近藤さん。ダンスへの意識が変わってくる将来を見据える。
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コンドルズ 埼玉公演2016新作 「LOVE ME TenDER」
18日(土)午後2時・7時、19日(日)午後3時、彩の国さいたま芸術劇場大ホール(JR与野本町駅徒歩7分)で。全3回公演。
構成・映像・振り付け:近藤良平、出演:コンドルズ(青田潤一、石渕聡、オクダサトシ、勝山康晴、香取直登、鎌倉道彦、ぎたろー=新人=、古賀剛、小林顕作=声の出演=、スズキ拓朗、田中たつろう、橋爪利博、平原慎太郎、藤田善宏、安田有吾、山本光二郎、近藤良平)。チケットは前売り一般S席5000円、A席3500円。全席指定。
彩の国さいたま芸術劇場 Tel.0570・064・939