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  埼玉版 平成26年7月号  
ピアノを知れば もっと音楽が身近に  調律師・齋藤信哉さん

「調律はほとんど独学でした」と齋藤さん。それが、ピアノについて独自の視点を生んだ
 日本の高度経済成長が始まってまもなくの頃、黒塗りのピアノは庶民にとってステータスシンボルだった。次第に生活にゆとりが生じるに伴い一般家庭に普及して行ったピアノ。それにつれて、ピアノの音が騒音公害として社会問題になったことも—。現在、日本では大小さまざまなコンクールが開かれ、ピアノは盛んに弾かれている。しかし、「日本人にとって身近な楽器、ピアノについて知られていないことは多い」と話すのは調律師の齋藤信哉さん(62)。「ピアノを知ると音楽を聴くのがもっと楽しくなるはず」と話す。21日に草加市でカルチャー講座に出演する。

なぜピアノは黒い? バイエルは日本だけ?
 齋藤さんによると、日本人の体の使い方は西洋人とはかなり違う。「ピアノは西洋人が作ったもの。だから西洋人と同じ体の使い方をしないと良い音は出ません」と話す。

 齋藤さんが挙げる日本人の体の使い方の特徴は、「(たとえばのこぎりを)引く」「下げる」「弾まない」。これに対して、西洋人は日本人とは反対の「突く」「上げる」「弾む」—。まったく逆なのだという。たとえば、日本刀とフェンシング、ギターと三味線、太鼓とティンパニなどがそうで、振り下ろす動きの日本刀に対してフェンシングの剣は突いて戻すという動きという具合。また、その違いは走り方にも表れているという。

 「飛脚は“ナンバ走り”で1日に40〜50里(160キロ〜200キロ)を走ったといわれます」と齋藤さん。ナンバとは、体をねじらずに右手と右足、左手と左足を同時に出す動き。今では歌舞伎の六方(ろっぽう)が有名だが、「鎌倉物語」や「江戸名所記」などの古文書の挿絵に登場する日本人はナンバの動きを見せていると話す。

 これら日本人の体の使い方は、独特の音楽のリズムや音楽センスにもつながってくる。「ピアノの弾き方では、鍵盤を強くたたく奏法が好まれる」と齋藤さん。西洋式に鍵盤を弾ませた方が「伸びの豊かな音が出やすくなる」と発想の転換を勧める。

 神奈川県相模原市緑区津久井地区で1952年に生まれた齋藤さん。子どもの頃から手先が器用で「職人のような仕事に就きたい」と漠然と考えていた。

 神奈川大学外国語学部在籍中、大学の先輩から世界的ピアニスト、リヒテル(旧ソ連)が弾くピアノの調律は日本人が任せられていると聞き、「そういう仕事をやってみたい」と思った。調律師を養成する制度があるという楽器店の求人募集を見て大学卒業後、ヤマハの特約楽器店に就職。そこで調律と営業の仕事を31年間勤めた後、フリーランスとなり現在、調律師として活躍する一方、東京音大特別学外講師などを務めている。

 これまで数々のピアノを調律してきた中で、日本人が常識と思っていることが世界では非常識、ということが多いと気付いた齋藤さん。

 例えば、日本ではピアノといえば黒塗りだが、西洋では木目仕上げが主流。黒塗りのピアノは木目を合わせる必要がないため、大量生産がしやすいから日本で普及した。

 また、ピアノ教則本として日本では“バイブル”のような存在だった「バイエル」。これも西洋ではほとんど知られておらず、日本独特の練習法だという。

 齋藤さんは時々、大学など各地でピアノを解体するセミナーを開いている。

 なぜ、ピアノを解体するのかというと、ピアノの構造をピアノに関わる人たちに知ってもらいたいからだ。「ピアノの構造を知ることで正しいタッチの仕方などが自分で判定しやすくなると思います」と齋藤さんは話す。

 齋藤さんの著書には、「ピアノはなぜ黒いのか」(幻冬舎新書)、「ピアノと日本人」(DU BOOKS)がある。

♪カルチャー講座
調律師とピアニストによる音楽が楽しくなる講座

 7月21日(月・祝)午後2時、草加市文化会館ホール(東武伊勢崎線松原団地駅東口徒歩5分)で。

 第1部の講演は、「調律師が語る、日本人の音楽〜調律師とピアニストによる音楽やピアノについてのトーク」、第2部のコンサートは、ピアニスト白石光隆によるピアノ・コンサート。演奏曲目は、成田為三:浜辺の歌変奏曲、M・ラベル:亡き王女のためのパバーヌ、E・サティ:金の粉、F・リスト:愛の夢第3番変イ長調、F・ショパン:ポロネーズ第6番変イ長調「英雄」作品。料金(全席指定)一般1000円、学生500円、ペア1500円、サイドシート500円。

 問い合わせは草加市文化会館 Tel.048・931・9325

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