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  埼玉版 平成25年5月号  
20年かけてシルクロードを制覇  三郷市の高野直明さん

高野さんのシルクロードとの付き合いはこれからも続く。育てたカイコのマユを糸に紡いで絹織物をつくるのが次のテーマ。高野さんの後ろにあるのが、養蚕農家で使っていた糸を紡ぐ機械
「夢は努力で必ずかなう」
 高校生のころに読んだヘディン著「さまよえる湖」でシルクロードに魅了され、約20年かけ陸路をラクダなどで行った三郷市在住の高野直明さん(69)。昨年、仲間と最終目的地イタリア・ローマに到着し、奈良・東大寺別当から預かった平和のメッセージをローマ教皇へ届けた。シルクロードの旅を終えた今、高野さんは「夢は努力すれば必ずかなう」という思いを強くしている。10日から川口リリアで写真展を開く。

 JR武蔵野線三郷駅から徒歩約20分、静かな住宅地に高野さんの自宅はある。庭には25年くらい前、宝くじで当った1万円で購入した夏ミカンの木が—。この木は、毎年春になると約300個の実を付けるが、その実を「知り合いのみなさんにおすそ分けしています」と高野さん。今や、この木は高野家の親善大使のような存在になっているという。

 約20年で中国・西安からローマまでをたどったシルクロードの旅。高野さんにとって中でも印象深かったのが92年から2003年まで計33回の旅で中国の西安からトルコのイスタンブールまでの約1万1000キロだった。

 その道のりを地図上で見るのは簡単だが、実際に行くとなると、砂漠や大河を通って5000メートル級の山頂にある国境をいくつも通過しなければ到達しない。それがどんなに大変か、「現地に行かないと分かりません」とにこやかに話す。結局、通過した国境は12カ所を数えた。

大手ガス会社に就職
 ヘディンの「さまよえる湖」には1600年周期で移動する湖の話が出てくる。その不思議な湖や砂漠に興味を持った高野さんは関連の本を読むほか、テレビで人気シリーズだった「NHK特集シルクロード」を見て夢を膨らませていく。高校卒業後は大手ガス会社に就職。その後、勤めながら日本大学理工学部を卒業(70年)、そして結婚、転勤などを経験しながらもシルクロードに対する関心は高まっていった。

キャラバンに参加
 そんなある日、高野さんの目に留まったのが新聞に載ったシルクロードキャラバン参加募集の記事。しかしそのキャラバンに参加するには1カ月の休暇が必要だった。会社に休暇申請を出すことができなかった高野さんは結局、参加を断念せざるを得なかった。

 1年後、シルクロードに関心のある人たちが集まって「地球と話す会」が結成され、高野さんは副会長に就く。その翌年、さっそく実行されたのが会員58人とラクダを中心にジープやバス、あるいは徒歩で行った敦煌〜チャルクリク間のタクラマカン砂漠約850キロの旅。

 このチャンスを逃すまい、と高野さんは勤続30年の特別休暇と夏休みを利用し、1カ月の休暇を取った。もちろん休む前に業務に支障が出ないよう仕事の調整をした上でのことだ。だが、準備を整えて参加した砂漠の旅は過酷だった。

「砂漠の温度差は激しく、1日の間に四季があります。このためラクダに乗ったまま上着を脱いだり、着たりして体温を調節しなければなりませんでした」と高野さんはこの時の模様を振り返る。その後も高野さんは2002年に実施された第2回ラクダの旅にも参加。チャルクリク〜ホータンの約950キロを旅している。

 一方、「地球と話す会」では、ラクダの旅とは別に自転車でシルクロードを走破しようというプロジェクトも行われた。毎年1回、合計20回かけて2012年にローマにたどりつく計画で93年に西安からスタートした。高野さんはこの自転車の旅には参加していないが、どの道を通るのが安全か、けがした時の措置をどうするかなどの事前調査や計画立案に携わった。

 そして、2012年8月に最終目的地、ローマに到着。「地球と話す会」高柳友典会長ら約90人の会員と共に北河原公敬東大寺別当(当時)のメッセージをローマ教皇ベネディクト16世(当時)に渡すことができた。中国の西安から、延べ39パーティー、約920人が参加したシルクロードの旅はこれで終りを告げた。妻の了子さん(59)と一緒に行った現地調査も含め、高野さんがシルクロードを訪れた回数は43回に達した。

「シルク」を作る
 「シルクロードを行く」という夢がかなった高野さんの次のテーマは「シルク(絹)に拘る」こと。かつてシルクロードを通って中国からヨーロッパに運ばれたシルクを実際に自分の手で作ってみようと計画している。

 すでに4年前から準備を始め、自宅でカイコを飼い始めているが、今月から日本古来のカイコ「小石丸」を1000匹以上飼うと高野さんは話す。「小石丸のマユ1個から1800〜1900メートルの糸ができ、6000個で反物が一反作れる」という。

 自分が育てたカイコのマユから糸を紡ぎ、それを織ってベニバナなどで染めたスカーフなどの絹織物を作るのが次の夢。高野さんは、「遠い昔の奈良時代を思いながら楽しみたいですね」と目を細める。

 現在、民生委員として地域社会とのつながりを持ち、趣味のシルクロードと家庭との3本柱で生活している高野さん。サラリーマンの定年後の生活について「ぜひ、伝えたいことがある」と言う。それは、「定年後をどう過ごすか、定年になる5年〜10年くらい前に考えておくことが大切」ということ。「定年になってから急に、これがやりたい、あれをやってみようと思ってもなかなかできるものではありません。そのうち身の置き所が無くなって自宅に引きこもる人も多いんです」と話す。

 シルクロードに興味を持つことで人とのつながりができ、多くの人から協力してもらいながらシルクロードの旅が実現できた自らの経験から話す高野さん。「人生は長い。第2、第3のステージを考えて取り組みたいですね」


(教皇専属カメラマン撮影)
地球と話す会「2012 遠征報告写真展」
 10日(金)〜12日(日)川口総合文化センター・リリア ギャラリー(JR川口駅徒歩1分)で。
 シルクロードの旅の締めくくりとしてシルクロード西の終点ローマまでの旅を記録した写真展。昨年8月8日にローマ教皇ベネディクト16世に「地球と話す会」高柳会長がシルクロード東の東大寺別当の親書を手渡した写真などを展示する。これまで東京・調布、杉並、千葉・市川、名古屋・浜松の4都市で行い、川口は最後の開催となる。入場無料。
 問い合わせは TEL.048・258・2000

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