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  埼玉版 平成24年12月号  
“アニソン”歌えば元気になれる!  歌手/水木一郎さん

恐妻家で有名な水木さん。「恐妻はいいこと。世の中は女性が強くないと」と話す。その夫人から先日、水木さんが声優で出演したアニメ映画「明日の希望」を見て「涙が止まらなかった」とメールで褒められ、大いに驚いたと話す
1月5日、さいたまで公演
 「ゼェェーット!」の雄たけびで知られる歌手の水木一郎さん(64)。アニメソング(アニソン)の“帝王”と呼ばれて日本はもちろん海外にも多くのファンを持つ。このほど、アニメーション映画「明日(あした)の希望—高江常男物語—」に主役の声で出演する一方、来年1月5日(土)にスーパーライブ2013 in SAITAMA公演を行うなど全国を精力的に回っている。「老けたとは言わせない」と話す水木さんに聞いた。

 「アニソンを歌い始めて41年。これまで1200曲を歌ったヒーローたちから勇気や元気をもらっている。だから老けこまないのかな」とにこやかに話す水木さん。

 このほど発売されたマジンガーZの40周年記念CD「ALL OF MAZINGER SONGS」(日本コロムビア)ではマジンガーシリーズの歌をほぼ網羅。これらの歌は20代から60代までの水木さんの歩みと重なるが、ファンからも、「子どもと一緒に聴いていた40年前を思い出し、元気になった」という声が届く。「その曲を聴いていた年代に戻れるのが歌の効能。特にアニソンを歌えば元気になれる。実際、自分がそうだから」と笑う。

 東京都出身で子どものころからジャズなどを聴いて育った水木さん。20歳の時に歌謡曲でレコードデビューしたが芽が出ず、3年後石ノ森章太郎原作「原始少年リュウ」のテーマソング「原始少年リュウが行く」からアニソン歌手としての道を歩む。

 今でこそアニソン歌手を志望する若者は多いが、当時はまだほとんど注目されなかった。テレビでアニメ放送が増えるのに伴い、アニソンを専門に歌える歌手が求められレコーディングは増えた。しかし、レコードジャケットには水木一郎のクレジットだけ。声は聞くけど顔は知らない、という時期が長く続いた。70万枚以上の大ヒットとなったマジンガーZもその当時の曲の1つだ。


「ゼーット! と雄たけびをあげるのが健康法」と水木さん。声に力を入れ過ぎないよう注意する
声優でも注目
 テレビに登場するようになって水木一郎さんが顔と名前を一致して世間から認識されるようになったのはようやくここ10年程度のこと。歌手生活の約3分の2を“雌伏の時”として過ごしてきたともいえる。それでも水木さんはアニソン一筋に仕事を続けてきた。

 「自分にはアニソンが合っていたから。子どもたちに夢を与えることのできる、こんな良い仕事はないと思ってやっていたら、ここまできていた」と水木さん。顔が知られなかったことも、「神さまがお前は修行中だからもうちょっと待て、と考えていたのでは。けれど自分ではテレビに出られなくても“苦節”とは思ってなかった」と述懐する。

 水木さんが歩んできた道のりは、これまで歌った1200曲を超える楽曲数や前人未到の「24時間1000曲ライブ」(99年、河口湖ステラシアター)など数々の“金字塔”として残る。

 そんな水木さんの人気は今では国際的だ。ツイッターなどで世界各地にいるファンから連日届く“声”に対し25カ国語に翻訳できる機械で返事を送っている。ウィキペディアの水木一郎の項目は、その言語数で黒澤明監督とトップを競う。また、国際交流基金などの合同プロジェクト「東日本大震災の記憶/世界の絆に感謝」では、海外23カ国に向けて、宇宙飛行士の毛利衛さんらとともに著名な日本人の1人としてメッセージを発信。

 「自分も(歌を通じて)40年以上も皆さんに愛された。そろそろお返しをする時」と水木さん。「水木一郎としてドーンと座っているんじゃなくてどんどんしてあげる時期にきている」と話す。

 こうした気持ちの1つの表れが8月に発売された震災復興支援ソング「東北合神(がっしん)ミライガー」。「デビュー以来、いろいろとお世話になっている東北が震災にあって何か出来ないか」という思いから生まれた。CDの収益金はすべて東北の子どもたちに寄付されると言う。

 アニソン一筋に生きてきた水木さんは最近、声優としても注目されている。重度の身障者だった北海道の社会事業家、高江常男さんの生涯をアニメ化した映画「明日の希望」(監督:山田火砂子、制作:現代ぷろだくしょん TEL.03・5332・3991、なかのZEROほかで公開中)ではテーマソングを歌い、主人公の声で出演。水木さんの前向きなキャラクターが主人公とマッチした。

 世間でいう「高齢者」の年代になろうとしていても、現役ばりばりで新曲を発表している水木さん。その原動力となっているのがアニソンへの強い愛情だ。アニソンの黎明期から今日まで関係者が愛して作ったアニソンを「日本文化として後世に正しく残していくこと」を自らの使命と考えている。「儲かるから」という理由でアニソンに参入する動きに対して、「日本の文化のアニソンがだめになる」と警戒する。

 その意味で力を入れているのがライブ公演。「アニソンを理解してもらうために人口が少ない町も行く」と水木さん。“アニソンビッグ3”と称される堀江美都子さん、影山ヒロノブさんと始めたスーパーライブでは、生の公演を見る機会が少ない地方も含め日本各地を回っている。「ぜひ、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に3世代で来てほしい」と話す。

スーパーライブ2013 in SAITAMA
 1月5日(土)午後2時開演、埼玉会館大ホール(JR浦和駅徒歩6分)で。

 出演は、アニソン界のビッグ3の水木一郎、堀江美都子、影山ヒロノブ。全席指定5000円。  問合せはKMミュージック TEL.045・201・9999

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