|
昨年4月の撮影会で新潟〜長野を訪れた。雪解け水を満々とたたえた北竜湖(長野・飯山市)で記念撮影 |
かつて、「めがねをかけて首からカメラをぶら下げて歩いている」というのが西欧の日本人評だった時代がある。昔から日本人はカメラ好き、写真を撮るのが好きだ。持ち歩くカメラはいつしかデジタルになったが、シニアの写真撮影熱は静かなブームが続いている。そんなシニアの写真家たちが時に集まっては撮影談議に花を咲かせているのが、「ソニオンフォトクラブ」だ。
みんなが楽しめる場を提供
約137人の男女が所属する同クラブは県内で最大級の人数を持つ。平均年齢74歳。「みんなが楽しんで撮影する場を提供できればいいと思っています」と代表幹事の辻田勝裕さん(74)はにこやかに話す。
主な活動は、年6回の作品コンテスト(著名な写真家の講師を招いて撮影した作品の講評)、同2回の著名講師による講演会、同3〜4回の添削指導(講師数名に作品を送付して書面による指導)、同3〜4回の個人指導会(講師との面談=有料)、同4回の撮影会(そのうち1泊2日が2回、日帰り2回)、同20回の自由参加撮影会、同1回の作品展—と盛りだくさん。
この他、パソコン愛好者による勉強会、PCサークルや会員外を対象とした写真教室(年1回、受講者を募り、終講者のうち希望者がクラブに入会)も行っている。
写真クラブといっても技量の高い人ばかりではない、と辻田さん。「たとえ下手でも楽しめるのが写真なんです」と話す。
ソニオンフォトクラブの辻田さん(前列左)から右回りに小谷野さん、小川さん、上田さん、伊倉さん |
幹事15人が撮影会企画
辻田さんは続けて、「ある程度まで勉強していくと、才能や感性の違いがはっきりしてきます。同じ物を撮っているのに写真を見比べると出来栄えが全然違う。くやしいと思うこともあります」と話す。大事なのは、そこで止めずに自然と触れることや仲間作りなど、自分なりの楽しみ方を知ることだと言う。
辻田さんも定年後から本格的に撮影を始めた1人。勤めていた会社を65歳でリタイアし、「さあ、これからどうしようか」と考えた時、旅行などでスナップ写真を撮るのが好きだったことを思い出した。「写真ぐらい撮れるだろう」と9年前に入会。しばらくすると自分の中にある変化が生じた。桜を見ても、自然と桜の美しさを探ろうとする“自分”に気付いた。
写真の楽しさを実感できたのが撮影会。昨年10月に行った志賀高原・渋峠は標高2172メートルの高地。現役時に何度か同地を訪れた辻田さんだったが、同クラブの仲間と一緒にカメラのファインダー越しに見ていると「渋峠からの景色はこういうものだったのか」と新たな発見があったと言う。
早朝や星が輝きだした夕暮れ時に撮影していると、地球という大自然に圧倒されることが少なくない、と辻田さん。「その感激が我々の活力になっていく。それが写真を趣味にする楽しさですね」と話す。また、撮影会での楽しみは感激を分かち合う仲間がいること。「酒を飲みながら、あのお星様は奇麗だったな、と話していると、青春のころに戻ったような気分になります」
同クラブの定例撮影会や自由参加の撮影会などのイベントを企画しているのが15人の幹事。文字通り手弁当で世話をする幹事に対し辻田さんは「よくやってくれています」と感謝している。
その1人、伊倉澄子さん(71)は11年前に入会。夫の形見のカメラを持って写真を始めた。「祭りなど人の動きがある写真を撮るのが好きです」と話す。年6回発行する会報(B5判、6〜8ページ)を担当している。
また、仏像を彫るのが趣味でそれを写真に残そうと5年前に入会したのが小谷野誠さん(69)。それを契機に写真にのめり込み、富士山をバックに飛び立つ白鳥の写真などを撮影している。同クラブでは、伊倉さんとともに会報を担当。
「広々とした景色の中にすがすがしい花が咲いている風景などを撮るのが好きです」と話す上田俊介さん(72)は5年前に入会。総務を担当。アルプスを撮影するのが夢だ。
「墨彩画をやっていたんですが、写真はシャッターを押すだけでいいと思い、始めました」と話すのは小川吉信さん(72)。入会したのは8年前。「撮影の後で仲間と飲むのが楽しみでいつまでたっても上手になりません」と笑う。
設立から23年目に入った同クラブの最高齢は95歳、80代が35人も在籍している。「撮影会では80代の人も重いカメラを持って早朝からホテルを飛び出し日の出を撮ろうと出掛けます。写真を趣味にした効用ですね」と辻田さんは眼を細める。
ソニオンフォトクラブへの問い合わせは、辻田 TEL.090・4604・2140 |
| |
|