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  埼玉版 平成22年3月号  
青果店経営から「キミ子方式画塾」講師へ  蓼の会/榎本信次郎さん

「みなさんも一度モヤシを描いてみて」と話す榎本信次郎さん
 
   
 28年前の7月のある日、絵画教室に現れた女性はムームー風の洋服にビーチサンダル、腰まで垂らした長い髪、日焼けした肌と外国人のような風ぼう、しかも最初に袋から取り出した絵の題材はモヤシ…。「エーッ、この人が先生? しかもモヤシ?? と、びーっくりしました」。川越市で画塾・キミ子方式「蓼の会」を主宰する榎本信次郎さん(67)は師となる松本キミ子さんに初めて会った時の驚きをこう話す。

妻の言葉に背中押され
 当時、川越市内で青果店を営んでいた榎本さんが絵を学ぶことになったのは、妻の美代さんの思い切った行動がきっかけだった。

 美代さんが得意先のレストランに納品に行った際、同じビルのカルチャースクールに水彩画教室ができることを知り、絵が好きな榎本さんのために本人に無断で入会を決めてきた。「話を聞いたときは『八百屋がカルチャーなんて』と笑われるだろうし、そんな暇もないから嫌だと断ったのです」。美代さんは「半年分の月謝は払い込んでしまったし、そのくらいの時間なら、店は私1人でも大丈夫だから。1度行ってみて本当にいやだったらやめればいい」と強く勧めてくれた。

 思い切って参加した初日の衝撃的な出会いが榎本さんの人生の幅を広げることになる。

 
2年がかりで仕上げた四季の野の花
   
 モヤシと黒画用紙を渡され「今日はモヤシを描きましょう。根は下に伸びます。茎は上に伸びます。筆もそのように動かしてください。神様が創ってくれた順に描く、根を描き、茎を描き、葉を描く、そうすれば絵に生命力が出てきます。モヤシが描ければどんな植物でも描けるようになります」との先生の言葉に、常日ごろカラフルな野菜の美しさに感動していた榎本さんは身震いがしたという。「自然の摂理が分かっているこの先生ならついて行ける」。松本キミ子さん独自の絵画手法“キミ子方式”との付き合いが始まった。

 キミ子方式は、使う絵具は赤、黄、青の3原色と白、それを混ぜて様々な色を自分で作る。輪郭は描かない。描き始めの1点を決め、隣りへ隣りへと描く。大きく描きすぎて紙が足りなくなれば足せばいい、小さく描きすぎて余白が多ければ紙を切ればいいというように大らかな考え方だ。

 榎本さんが描いた野菜や草花の絵は、どれも本物の野菜や花が額の中に収まっているように見える。2年がかりで四季の草花を描き込んだ作品もある。


種々の野菜を描いた等身大の作品もある
 
   
野菜の美しさ再認識
 榎本さんは「八百屋は手早く陳列しなければいけないので、野菜をじっと見ている暇はありませんでしたが、絵を描くようになってからは毛の1本1本まで見えてくるようになりました。売っているだけでは気付かなかった野菜の美しさが改めて分かり、陳列する時もそれぞれが生きるように丁寧に並べるようになりました」。

 店に飾った絵の評判もよく、今まで以上にお客さんとのコミュニケーションも図れるようになった。そのおかげか1988年には第11回優良経営食料品小売店全国コンクール青果小売店部門で農林水産大臣賞も受賞した。また、商売だけでは知り合えなかった人々とのつながりもできた。

 しかし時代の流れは厳しく、2代にわたって50年以上続けてきた青果店も、近所にスーパーが出店したため廃業のやむなきに至った。ちょうど還暦、サラリーマンなら定年の歳だった。廃業したものの、この先何をしたらよいか思案していたとき「今までやってきた絵を生かしてみれば」と再び背中を押してくれたのが美代さんだ。

 画塾を開き、キミ子方式を指導することになった。「蓼の会」のネーミングの由来はモヤシの次に描いたイヌタデから。現在は約30人の生徒を指導している。

 カラー作品だけではなくボールペンで線画を描くこともある。えんぴつは使わないという榎本さん、理由を聞くと「緊張感が違います。えんぴつだと消せるでしょう」。持っていたボールペンを渡し「これで何かを」と依頼すると目の前のシュガーポットを描き始めた。「例えば陶器はろくろを回しながら、まず土台から作り始めますよね、絵も同じです」と底の部分から描き始めた。軽い気持ちで依頼にした当方が心苦しくなるほど真剣に対象物を見てボールペンを動かす。

 「みなさんも、一度モヤシを描いてみてください。根っこを描いて、茎を描いて小さな葉を描いて…、絵が描けないという人もこの方式だときっと描けますよ」

 問い合わせは TEL080・1040・5856

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