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「競争」より「共鳴」し合って 埼玉県女流工芸作家協会/滝沢布沙さん |
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ブラウスやストール、後方の壁飾りもすべて自作 |
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滝沢さんの藍染め作品 |
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4月に公募展開催
“発表の場が十分ではない”“ともすれば低く見られがち”であることを憂い、女流工芸家の地位向上のために立ちあがった染色工芸家・高澤英子さんは、国際婦人年の1975(昭和50)年に“埼玉県女流工芸作家協会”を設立、30周年を機に会長職を長女の滝沢布沙さんに託すまで活動を続け、昨年4月、92歳で死去した。同協会の会員は全国に約170人、他に類をみない歴史ある女流工芸家団体として今年35周年を迎える。
埼玉県女流工芸作家協会2代目会長で自身も染色家である滝沢布沙さんは「女流ならではの包容力、競争心というより共鳴しながら、いってみれば野の花という感覚で活動しています」という。
同協会が毎年1回行う公募展は今年も4月22日(木)から25日(日)に開催され、女流工芸作家の発表の場となっている。全国から染・織・陶・漆など幅広いジャンルの作品が集まる。応募作品は鑑審査と、著名な工芸作家や大学教授を中心とした審査委員による審査を行い、埼玉県知事賞、埼玉県議会議長賞、埼玉県教育長賞、埼玉県女流工芸作家協会賞など十数点を贈賞する。
同展で3回入選すれば協会会員としての資格が得られるという。近年は押し花、キルトなどの作品が入選するなど、工芸のすそ野は広がってきている。
工芸のすそ野を拡大
初代会長の高澤英子さんは「自分にチャレンジ、老化にチャレンジ。夢を追って走り続ける」をモットーに、60歳でテニスとスキーを始め、70歳でオカリナと手織り、80歳で陶芸、89歳で二胡、90歳を過ぎて水泳にチャレンジ、体力が落ちてきてからは俳句を詠み始めるといったパワーあふれる人だった。
長女の滝沢さんは「母の世代の人たちは強さがあります。歴史が強くしているのかもしれませんが…。20年間母と一緒の山を、前になり後ろになり歩いてきましたが、これからは自分の山を歩かなければいけません。常に自分に何かを課し、やり続け、自分の中に蓄えてかなければと思います。そのためには“外力(そとぢから)”が頼りです」と話す。
滝沢さんがいう外力とは、他から受ける刺激で触発される自身の力とでも表現すればいいのだろうか。新しい出会いや、普段と変わった出来事など小さなことでも自分のエネルギーになるという。
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協会本部がある高澤記念館の建物は国登録有形文化財 |
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ここ数年は藍染めのほかに、行田市と協力し、古代蓮の葉を使った古代蓮染めに取り組んでいる。「何色に染まるのですか」と尋ねると即座に「古代の太陽の色」と答えが返ってきた。「???」戸惑う記者に、滝沢さんはにっこり笑って「2000年の時を経てよみがえった蓮は美しく神秘的です。その神秘の色を古代の太陽の色と表現しています。神秘のところまではまだ近づけないですが」という。黄色系といえば分かりやすいだろうか。
見せてもらった作品は淡い黄色から茶に近い黄色までさまざまな色があった。着尺、ポケットチーフ、スカーフなどの製品のほか、次はネクタイを試作するという。さらには蓮をモチーフとしたびょうぶを手掛けたいと下絵も準備中だ。
昨年は伝統工芸士認定委員を委嘱されるなど、活動の幅も広がってきている。これも「みなさんからいただく外力ですね」という。
母親の高澤さんに劣らず夢とパワーあふれる滝沢さん、今は4月の公募展に向け大車輪の毎日だ。
「伝統の技の上に新技法、新感覚を吹き込んだ作品の創出や、より感動に満ちた公募展を展開したいです」と目を輝かせる。
第34回埼玉女流工芸展公募概要
会期:4月22日(木)〜25日(日)午前10時〜午後5時半(最終日5時)
会場:埼玉県立近代美術館(JR北浦和駅徒歩3分)
事前申し込み制:3月18日(木)〜25日(木)
問い合わせ:〒361-0023 行田市長野3の5の41 高澤記念館内
埼玉県女流工芸作家協会 本部
TEL:048・556・1774 |
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