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たとえ寒くても気象条件さえよければ愛機をもって集まる
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飛行機に“夢”乗せて
まつぶし緑の丘公園(北葛飾郡松伏町)で紙飛行機飛ばしに興じる中高年のグループがいる。県が主宰する「生きがい大学」のサークル活動として1997(平成9)年に発足した紙飛行機クラブ「ブルースカイクラブ」の会員たちだ。発足当時は会員も多かったが年々減って「今残っているのは、紙飛行機バカばかり」という73歳から83歳の男女10人だ。たとえ冬の寒い日でも気象条件さえよければ月曜日の午前中は公園に通ってくる。
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「空へのあこがれはずっとありました」と長谷川さん |
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サークルを立ち上げた会長兼指導者の長谷川義男さん(80)は、陸軍少年飛行兵の学校があった群馬県館林市で生まれ育った。「練習機が大空を飛んでいくのを毎日眺めていました。旧制中学3年のころは工場動員され飛行機の組み立て作業をしました。自分が携わった飛行機が飛ぶというのは心躍るものがありましたね。4年生のとき陸軍士官学校に合格し、航空科に選抜されたものの実際に操縦することなく終戦を迎えました。その後プラスチック関係の会社で研究員として勤務しましたが、空へのあこがれはずっとありました」と話す。
会員たちは「必要な道具は、紙飛行機とゴムのパチンコだけで材料費もたいしてかからないし、手軽に楽しめて奥が深い。製図で頭を使い、作るときは手先を使い、飛ばしたら落ちたところまで拾いに行く、3時間も飛ばしていたら1万歩以上歩く、いいことだらけですね」という。
1分間飛べば一人前 愛好家多く「大会」は難関
紙飛行機の頭部にゴムをかけゴムパチンコの要領で斜め45度方向に飛ばす。いったん30〜40メートルほど上がりゆっくり下りてくる。長谷川さんは「自分がその飛行機に乗っていると思って飛ばしなさい」と教えているが、会員たちは「始めたころは飛ばしたと思ったら行方不明、探したら足元の地面に激突していたこともあったね」と爆笑する。
国内の愛好家は多く、全国競技大会もあるが地区大会に出場するのも難関だという。
滞空時間はほとんどが数十秒だ。1分間も飛べば一人前だという。うまく気流に乗れば想像を超えるほど長く飛んで行方不明(視界没)になることもある。たとえ戻ってこなくても幸運と思ってあきらめるしかない。それに期待を込めて機に連絡先を記している人もいる。
最も若い島田さんは「そんなときは『視界没』とみんなに報告するけれど、ちょっと自慢でもあり寂しくもある。めったにないけどね(笑)。同じ図面で同じように作ったつもりでも接着剤の量などが微妙に違うから同じ物はできない。でもいろいろ工夫して作るのがまた楽しい。家には100機くらいある」という。市販のキット機も使うが、各自が工夫して作ることも多い。
会員たちは、10〜20機ほどの愛機を持ってきて長谷川さんにアドバイスをもらったり、飛び具合を試したり、図面を交換したりと実に楽しそうだ。「飛ばす場所が年々減ってきて場所探しが大変だが、歩けなくなるまで紙飛行機を続けたい」と口をそろえる。 |
ブルースカイクラブ
問い合わせ:TEL048-962-8537(長谷川さん) |
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