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入り口で来園者を迎える井上さん |
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和光市の「新倉ふるさと民家園」は、県内に現存する民家では最古の部類に入ると思われる古民家・旧富岡家を復元したもので、市指定の文化財建造物となっている。その「民家園」の管理・運営を市から受託し、町づくりの拠点にしたいと活動を続けているのがサポーターと呼ばれる「和光市古民家愛好会」だ。
市民ふれあいの場に新倉ふるさと民家園
子供たちに大人気
旧富岡家は1988(昭和63)年に外郭環状線道路の建設に伴い解体され、部材として保存していたものを05から約1年かけて市が復元した。
サポーターは、同時期に市が主催した古民家保存養成講座に参加したメンバーで組織したもので、現在は53人が登録している。
会長の井上明次さん(69)は「女性の方が多いかな、女性の年齢を聞くのはさしさわりがあるから、平均年齢は分からない。でも60歳以下の人は少ないのではないかな」と笑う。
サポーターは、休園日以外は交代で民家園に出ており、管理業務の傍ら訪れる子どもやデイサービスの高齢者たちの相手をする。
井上さんは「四季折々の行事を行い、ふるさとの文化・伝統を学び継承する場としても活用しています。また、ここに来られた方々に楽しく過ごしてもらおうという気持ちをサポーター全員が貫いているので、不快な気分で帰られたという話は聞いたことが無いですね」と話す。
月2回程度、趣向を凝らした催しを行うが、何を行うかは10人で構成する運営委員会で計画を立てる。発足当初は何を行うか頭を悩ましたが、現在は年間スケジュールとしてほぼ固定してきた。
たとえば、9月に催された「お月見の会」では地域の風習に倣い一升瓶にススキを5本、三方に団子を15個、季節の野菜・果物などを供え、来園者のために団子やアメ、子ども向けのおもちゃなどを用意した。訪れた人は「お月さん、お団子くんな。お月さんおもちゃくんな」と断れば、もらっていいことになっているという。
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月見の供え物 |
季節の行事を開催
ゲスト 毎回多彩な顔ぶれ
子どもたちは井上さんたちに促されて、空を見上げて照れくさそうに唱え、団子やおもちゃをもらう。草むらからは虫の音、家の中からは、ゲストの中島いくみさんが奏でる「里の秋」や「村祭り」などの横笛の音が聞こえてきてなかなか風流だが、子どもたちはもらったおもちゃの方が気になるようだ。
たびたび民家園に遊びに来る子どもは井上さんたちとは顔なじみで、井上さんの実の孫がやきもちをやくほど仲良しだという。
サポーターたちは個性豊かで、トライアスロンが趣味という会長の井上さんを始め、うどんやそばを打つのが得意な高倉輝彦さんや礒崎茂さん、看板の筆書はお任せという別所瀧光さんなど多士済々だ。それぞれの得意分野で民家園の行事などにかかわり、協力しあう。
井上さんは「私が以前トライアスロンの競技に出た時、ある新聞社のインタビューに『仕事には定年があるが、青春には定年はない』と答えた気持は今も変わっていないですよ」と胸を張る。
「季節ごとの行事を考えて準備するのは大変でしょう」と尋ねると「“大変”ととるか、“楽しい”ととるかは考え方次第ですね」との井上さんの答えに間髪を入れず「ここには大変という言葉は無いんだ」というさわやかな返事が、傍らでうどんを打っていた高倉さんから返ってきた。
古民家園 |
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うどんを打つ高倉さん(右)と礒崎さん |
和光市古民家愛好会
休園日:水曜日(祝日の場合は翌日)、毎月第4木曜日、祝日の翌日、年末年始など。入場:無料
問い合わせ:TEL 048-467-7575 |
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