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“2足のわらじ”で町づくりに貢献 さいたま市見沼区/地域人ネットワーク |
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「ふれあい菜の花子ども教室」での会員たち |
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現役時代に培った技術や能力を生かして、地域の町づくりに貢献し、自らの生きがいを達成しようという退職シニアが中心となり、2005年からさいたま市見沼区で活動するNPO法人「地域人ネットワーク」。主な活動はシニア向けのパソコンサポートと子ども育成のための農業体験サポート「ふれあい菜の花子ども教室」だ。
農業サポートとパソコン教室
農業体験教室は大人気
現役時代は原子力エンジニアだったという代表理事の岩井正三さん(71)は「私が住んでいるのは、東京に通勤する“埼玉都民”と呼ばれるような人が多い 500戸規模の団地だが、周りに定年退職する人たちが増え、その仲間と『何かやろう』と話し合ったのがきっかけ」と話す。
「まず考えたのはパソコンサポート。自分も経験があるし、他にもできる人がいる。仲間が仲間を誘い組織ができた。平均年齢?まあ66ってところかな」という男性16人女性6人がメンバーだ
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パソコン教室の講習風景 |
見沼区内の公共施設で開催する年間6回ほどのパソコン講座の講師をメンバーが担当する。1講座が2〜3日という短期間のものが多いが、そのためのテキストもすべて手作りだ。受講生はシニアや主婦が多い。
受講者20人に対し5、6人がアシスタントにつき丁寧に教える。
またそれをバックアップする形で毎月開催するパソコン相談会も好評だ。初心者や個人のパソコン持ち込みオーケーなので、フリーズした、動きが遅い、などのトラブル解決にも対応する。昨年度は参加者が延べ300人に達したという。「最近は追っかけも多いよ」と笑う。
パソコン活動とほぼ同時期にスタートしたのが農業体験サポートだ。農業を営んでいるメンバーが「遊んでいる畑があるから何かやろうか」と相談していた 2005年、さいたま市教育委員会から文部科学省の「子供居場所プロジェクト」の話が飛び込んできて始まった「週末チャレンジ教室」が契機だ。その後自主事業として親子参加型「ふれあい菜の花子ども教室」として現在まで続いている。今年度からは埼玉県の公有地2000平方メートルを借り受けることもできた。
岩井正三さん |
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8月から翌年7月までを1期間とした「ふれあい菜の花子ども教室」は、親子で菜の花の種まきから、種の収穫、油絞り(本格的な搾油はプロに頼む)までを体験する。今年は120キログラムの菜種が収穫できた。それからとれる油の量はほぼ40リットルという。その他、季節に応じた作物を作る。8月には大根の種をまいた。
これらの年間を通した(1、2月は休み)農業体験で農産物への思いやり、収穫の喜び、資源循環の実際を家族で共有することが狙いでもある。毎年会員家族 20組を募集するが、リピーターが多く、今年も募集を開始した翌朝には定員に達したという大人気の事業だ。
会員家族の活動は月1回だけだが、地域人ネットワークのメンバーはほぼ毎日畑に出て草取り、土質改良、作物の生育状況のチェックなどと多忙だ。「大変だが子ども達がキラキラした目で作業するのを見たり、『野菜嫌いだった子が喜んで食べるようになった』という話を聞くとうれしい」と岩井さんは相好を崩す。
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